小児肺移植

「はじめに」肺移植は小児慢性呼吸器疾患に対する最終的治療法であり, 岡山大学における全肺移植数145例中小児肺移植は25例 (17%) を占め, 近年増加傾向にある. 移植後の長い人生を考えると, 肺移植の恩恵を最も受けるのは小児患者であり, 今後一層の発展が望まれる. しかしながら脳死下臓器提供の極端に少ない日本においては, 小児脳死ドナーからの肺移植はきわめて困難な状況であり, やむを得ず生体肺移植を選択するケースが多い. 成人 (多くの場合両親) から提供された肺葉は学童期の小児患者にとってはサイズ的にはベストマッチであるが, 成人の下葉が入る大きさまで成長していることが大前提となるため...

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Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 50; no. 6; pp. 576 - 581
Main Author 大藤, 剛宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2015
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.50.6_576

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Summary:「はじめに」肺移植は小児慢性呼吸器疾患に対する最終的治療法であり, 岡山大学における全肺移植数145例中小児肺移植は25例 (17%) を占め, 近年増加傾向にある. 移植後の長い人生を考えると, 肺移植の恩恵を最も受けるのは小児患者であり, 今後一層の発展が望まれる. しかしながら脳死下臓器提供の極端に少ない日本においては, 小児脳死ドナーからの肺移植はきわめて困難な状況であり, やむを得ず生体肺移植を選択するケースが多い. 成人 (多くの場合両親) から提供された肺葉は学童期の小児患者にとってはサイズ的にはベストマッチであるが, 成人の下葉が入る大きさまで成長していることが大前提となるため, 乳幼児や体格の小さな小児患者を救命することはこれまで不可能であった. 近年著者らによる生体中葉移植や分割区域移植など, 新しい小児肺移植手術の開発により3歳以下の小さな小児患者にも肺移植で救命できる道が開けてきた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.50.6_576