1 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫自然感染(予報)(一般講演,第55回日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)
動物寄生性オンコセルカの人体感染例が日本(大分)で5例, 欧米で6例報告されているが, その媒介者は不明である. われわれは, これまでに, 吸血昆虫ブユが猪寄生性Onchocerca dewittei japonica(日本の人獣共通オンコセルカ症起因種)および鹿寄生性O. skrjabiniとO. sp.(typeA)に感受性を有することを, 感染実験により明らかにした(第57回日本衛生動物学会大会). 今回は, ブユが実際に自然界で媒介者になっているかどうかを検討するために, 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染を調査した. 2004年の9月から11月と2005年の4月から7...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 57; no. 2; p. 172 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
2006
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ISSN | 0424-7086 2185-5609 |
DOI | 10.7601/mez.57.172_1 |
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Summary: | 動物寄生性オンコセルカの人体感染例が日本(大分)で5例, 欧米で6例報告されているが, その媒介者は不明である. われわれは, これまでに, 吸血昆虫ブユが猪寄生性Onchocerca dewittei japonica(日本の人獣共通オンコセルカ症起因種)および鹿寄生性O. skrjabiniとO. sp.(typeA)に感受性を有することを, 感染実験により明らかにした(第57回日本衛生動物学会大会). 今回は, ブユが実際に自然界で媒介者になっているかどうかを検討するために, 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染を調査した. 2004年の9月から11月と2005年の4月から7月の間に, 大分県の3地点(大分市, 宇佐市, 豊後大野市)で, 車の排気ガスに誘引されたブユ雌成虫の捕虫網による採集を試みた. 採集されたブユ成虫を種類別に生理食塩水中で解剖し, フィラリア幼虫の感染の有無を調べた. その結果, これまで採集された個体のうち200個体(Simulium bidentatum183, S. quinquestriatum9, S. japnicumまたはS. kawamurae6, S. uchidaiまたはS. subcostatum koshikiense2)を解剖し, S. bidentatum6個体からフィラリアの第1期幼虫またはミクロフィラリアを検出した. ミクロフィラリアの体長, 体幅および形態的特徴から, 少なくとも2種類のフィラリア幼虫が自然感染している可能性が示唆された. また, 長い方のフィラリアは, わが国でブユが媒介することがわかっている4種のフィラリアのいずれとも異なっており, 鹿寄生性のO. skrjabiniの可能性が強いと思われた. 今後はさらにブユ成虫の採集と解剖を行い, 自然感染フィラリア幼虫と既知の動物寄生性フィラリア幼虫を比較することによって, 人獣共通オンコセルカ症起因種の媒介者を決定する予定である, |
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ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.57.172_1 |