肛門管の閉鎖を合併した直腸閉鎖の1例
症例は9か月男児.38週1日,2,906 g,帝王切開で出生し,日齢1に直腸肛門奇形を疑い紹介となった.肛門のdimpleを認めたが閉鎖しており,倒立位撮影で中間位直腸肛門奇形と診断し,左側横行結腸に双孔式人工肛門を造設した.排尿時膀胱尿道造影と人工肛門からの造影で無瘻孔と診断した.生後6か月時のMRI検査で肛門括約筋の発達は良好で,右異所性尿管を認めた.繰り返す尿路感染のため生後9か月時に膀胱尿管新吻合術と後方矢状切開直腸肛門形成術(posterior sagittal anorectoplasty,以下PSARP)を同時に行った.直腸盲端と肛門のdimpleの間に歯状線を有する肛門管様構造...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 6; pp. 934 - 938 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.10.2024
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.60.6_934 |
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Summary: | 症例は9か月男児.38週1日,2,906 g,帝王切開で出生し,日齢1に直腸肛門奇形を疑い紹介となった.肛門のdimpleを認めたが閉鎖しており,倒立位撮影で中間位直腸肛門奇形と診断し,左側横行結腸に双孔式人工肛門を造設した.排尿時膀胱尿道造影と人工肛門からの造影で無瘻孔と診断した.生後6か月時のMRI検査で肛門括約筋の発達は良好で,右異所性尿管を認めた.繰り返す尿路感染のため生後9か月時に膀胱尿管新吻合術と後方矢状切開直腸肛門形成術(posterior sagittal anorectoplasty,以下PSARP)を同時に行った.直腸盲端と肛門のdimpleの間に歯状線を有する肛門管様構造を認めたが直腸との連続性はなく,肛門側も閉鎖していた.肛門管様組織を全摘し,直腸盲端を引き下ろして肛門形成を施行した.全摘した構造物は組織学的に肛門管に矛盾しなかった.本症例は肛門管の閉鎖が非典型的であるが,総合的に判断し,肛門管の閉鎖を伴う直腸閉鎖と診断した.術後経過は良好でPSARPは本症例に有用であった. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.60.6_934 |