見島牛における遺伝性疾患、毛色、経済形質に関わる遺伝子座の対立遺伝子の分布

見島牛は、現在日本に存在する数少ない在来牛の一つであり国の天然記念物に指定されている。これまでに、黒毛和種などにおいて増体や脂肪交雑、脂肪酸組成などの生産形質に関わる遺伝子の多型、遺伝性疾患に関する突然変異遺伝子の存在が明らかにされているが、見島牛におけるこれらの変異あるいは多型に関する報告はこれまでにない。そこで本研究では、これらの形質に関連する遺伝子の変異あるいは多型が見島牛にも存在するか検討した。黒毛和種 10個体および見島牛 11個体の DNAサンプルを用い、遺伝性疾患の第 XI因子欠乏症、チェディアック・ヒガシ症候群、尿細管形成不全症の原因遺伝子である F11、LYSTおよびCL16...

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Published in動物遺伝育種研究 Vol. 38; no. 1; pp. 13 - 19
Main Authors 渡辺, 望, 国枝, 哲夫, 米田, 一裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本動物遺伝育種学会 2010
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ISSN1345-9961
1884-3883
DOI10.5924/abgri.38.13

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Summary:見島牛は、現在日本に存在する数少ない在来牛の一つであり国の天然記念物に指定されている。これまでに、黒毛和種などにおいて増体や脂肪交雑、脂肪酸組成などの生産形質に関わる遺伝子の多型、遺伝性疾患に関する突然変異遺伝子の存在が明らかにされているが、見島牛におけるこれらの変異あるいは多型に関する報告はこれまでにない。そこで本研究では、これらの形質に関連する遺伝子の変異あるいは多型が見島牛にも存在するか検討した。黒毛和種 10個体および見島牛 11個体の DNAサンプルを用い、遺伝性疾患の第 XI因子欠乏症、チェディアック・ヒガシ症候群、尿細管形成不全症の原因遺伝子である F11、LYSTおよびCL16遺伝子、毛色に関与することが知られているMC1R遺伝子、脂肪交雑や脂肪酸組成に関与することが報告されている EDG1、SCDおよびSREBP1遺伝子、増体等に関与する可能性のあるPOU1F1とGHR遺伝子についてPCR法あるいはPCR-RFLP法によりその遺伝子型を調べた。その結果、今回調べた見島牛中には、 LYST、CL16およびF11遺伝子座における変異対立遺伝子、MC1R遺伝子におけるE+対立遺伝子、EDG1遺伝子座におけるG対立遺伝子は検出されなかった。一方、 SCD、SREBP1、POU1F1および GHR遺伝子では、その頻度に違いはあるものの、黒毛和種と同様に二つの対立遺伝子が見島牛中にも存在していることが明らかになった。これらの結果は、見島牛の遺伝的特性を考える上で重要な知見であると考えられた。
ISSN:1345-9961
1884-3883
DOI:10.5924/abgri.38.13