術前低酸素血症を呈した巨大右房腫瘍摘出術の麻酔経験

「はじめに」原発性の心臓腫瘍は稀な疾患である. 心臓腫瘍の中で最も多い粘液腫は左房に多く発生し, 右房に発生する粘液腫は約15%と稀である. 右房粘液腫では右心不全の進行や腫瘍の嵌頓による循環破綻に注意が必要である. さらに, 中心静脈カテーテル, 肺動脈カテーテル, また脱血カニューラ挿入時に腫瘍との干渉にも注意する必要がある. 今回, 術前に低酸素血症を合併した右房粘液腫に対して摘出術を施行した症例の麻酔管理を経験したので報告する. 「症例」症例:48歳, 女性. 主訴:労作時呼吸困難. 現病歴:1年前より自覚していた労作時の呼吸困難が増悪してきたために近医を受診した. 経胸壁心エコー上,...

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Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 29; no. 1; pp. 67 - 70
Main Authors 本山, 正岩, 高橋, 成輔, 吉野, 淳, 森川, 敬子, 田中, 宏幸, 瀬戸口, 秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2008
Japan Society of Circulation Control in Medicine
Subjects
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.29.67

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Summary:「はじめに」原発性の心臓腫瘍は稀な疾患である. 心臓腫瘍の中で最も多い粘液腫は左房に多く発生し, 右房に発生する粘液腫は約15%と稀である. 右房粘液腫では右心不全の進行や腫瘍の嵌頓による循環破綻に注意が必要である. さらに, 中心静脈カテーテル, 肺動脈カテーテル, また脱血カニューラ挿入時に腫瘍との干渉にも注意する必要がある. 今回, 術前に低酸素血症を合併した右房粘液腫に対して摘出術を施行した症例の麻酔管理を経験したので報告する. 「症例」症例:48歳, 女性. 主訴:労作時呼吸困難. 現病歴:1年前より自覚していた労作時の呼吸困難が増悪してきたために近医を受診した. 経胸壁心エコー上, 右房に巨大腫瘍を認めたため手術目的で緊急入院となった. 入院時現症:身長164cm, 体重54kg, 血圧112/74mmHg, 脈拍103/min・整, 呼吸数22/minと頻脈・頻呼吸を認めた. 聴診上, 左第3肋間に最強点を有するLevine IV/VIのto-and-fro murmurを聴取した. また, 頸静脈の怒張をみとめ, 腹部触診で上腹部正中に肝を三横指触知した. 平地歩行や軽度の労作で息切れ, 頻脈, SpO2の低下を認めていたため活動性をNYHA分類3度と評価した.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.29.67