両側肩関節血腫を来した一例
「はじめに」非外傷性の肩関節血腫は比較的稀な病態であると思われる. 今回, 同時期に両側肩関節血腫を来した1症例を経験したので若干の文献学的考察を加え報告する. 症例 61歳, 女性, 主婦 【主訴】両肩関節痛及び腫脹 【現病歴】明らかな外傷歴はなく両肩痛出現. 近医にて時々ステロイドのSAB内注入療法を受け軽快. ステロイド注入を止めた約1ヶ月後より急に両肩痛増強したため, 近医受診. そこで両側SAB穿刺にて約30cc程度の血性液の排出を認めた. 止血剤投与にて経過観察したが病状持続するため当院紹介初診となる. 【現症】初診時, 両肩前方の腫脹を認めた. 疼痛のため高度な可動域制限を認め,...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 3; pp. 512 - 515 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2003
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.52.512 |
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Summary: | 「はじめに」非外傷性の肩関節血腫は比較的稀な病態であると思われる. 今回, 同時期に両側肩関節血腫を来した1症例を経験したので若干の文献学的考察を加え報告する. 症例 61歳, 女性, 主婦 【主訴】両肩関節痛及び腫脹 【現病歴】明らかな外傷歴はなく両肩痛出現. 近医にて時々ステロイドのSAB内注入療法を受け軽快. ステロイド注入を止めた約1ヶ月後より急に両肩痛増強したため, 近医受診. そこで両側SAB穿刺にて約30cc程度の血性液の排出を認めた. 止血剤投与にて経過観察したが病状持続するため当院紹介初診となる. 【現症】初診時, 両肩前方の腫脹を認めた. 疼痛のため高度な可動域制限を認め, 安静時痛の訴えも強かった. 【既往歴, 家族歴】ともに特記事項なし 【画像所見】(1)単純X線像では両側ともに骨頭の軽度の骨萎縮像を認めたが, 明らかな骨棘形成や関節裂隙の狭小化等は認めなかった(図1.) (2)MRI像では両側ともに肩関節内及び滑液包内に液の貯留を認めた. 腱板は右側ではその上腕骨付着部付近にintensity changeを認め, 断裂が示唆された. 左側では明らかな腱板異常を指摘できない.(図2.) |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.52.512 |