後腹膜鏡下腎摘除術におけるトラブルシューティング
われわれの施設では腎癌や生体腎移植時においてはおもに後腹膜アプローチでの鏡視下腎摘除術あるいはドナー腎採取術をおこなっている.後腹膜アプローチでの長所として,腎動脈や腎静脈への到達が容易であること,特に腎動脈の同定が経腹膜的アプローチに比べ容易であること,腸管等の他臓器が術野になく鉗子操作の妨げにならないことなどがあげられる.その一方で,ワーキングスペースが狭く腎周囲の剥離操作,特に腎上極の剥離操作は困難で死角となるスペースができること,ランドマークとなるものが少ないことなどが短所と考えられる.後腹膜鏡下腎摘除術時に考えられるトラブルとしては,後腹膜気腹開始までの操作トラブル,腎動静脈処理に際...
        Saved in:
      
    
          | Published in | Japanese Journal of Endourology Vol. 29; no. 1; pp. 11 - 14 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本泌尿器内視鏡学会
    
        01.04.2016
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 2186-1889 2187-4700  | 
| DOI | 10.11302/jsejje.29.11 | 
Cover
| Summary: | われわれの施設では腎癌や生体腎移植時においてはおもに後腹膜アプローチでの鏡視下腎摘除術あるいはドナー腎採取術をおこなっている.後腹膜アプローチでの長所として,腎動脈や腎静脈への到達が容易であること,特に腎動脈の同定が経腹膜的アプローチに比べ容易であること,腸管等の他臓器が術野になく鉗子操作の妨げにならないことなどがあげられる.その一方で,ワーキングスペースが狭く腎周囲の剥離操作,特に腎上極の剥離操作は困難で死角となるスペースができること,ランドマークとなるものが少ないことなどが短所と考えられる.後腹膜鏡下腎摘除術時に考えられるトラブルとしては,後腹膜気腹開始までの操作トラブル,腎動静脈処理に際してのトラブル,尿管,腎周囲剥離時のトラブル,隣接臓器損傷等が予想される.術中のこのようなトラブルを回避するために術前のCT等の画像で脈管の本数,位置,走行,腎,尿管周囲の脂肪組織の状態などを確認し術中の手術イメージをあらかじめつかんでおくことが重要である.しかしこのような準備をして手術に臨んでもある一定の割合でトラブルは起こり得る.術者のケアレスミスと考えられるもの以外に手術機器自体のトラブルや術前予想されなかった患者側の因子によるトラブルなどが起こった場合,術者はトラブルシューティングを余儀なくされる.より安全で質の高い医療を目指すためにはこのようなトラブルやトラブルシューティングを共有することは大きな意義があると考えられる.本稿ではわれわれが経験したトラブルシューティングを提示しつつ後腹膜鏡下腎摘除術におけるトラブルシューティングについて概説する. | 
|---|---|
| ISSN: | 2186-1889 2187-4700  | 
| DOI: | 10.11302/jsejje.29.11 |