生体肝腎移植後に二次生体腎移植術を施行した原発性過蓚酸尿症の1例

「I. はじめに」原発性過蓚酸尿症(primary hyperoxaluria type1:PH1)は, 肝臓で産生されるアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(AGT)の欠損により生じる常染色体劣性の遺伝形式をとる疾患である. 発生頻度は12万人に1人といわれており, 本邦においても1962年から2003年までに59例しか報告されていないきわめてまれな疾患である. 病態の本質は過剰に産生された蓚酸の全身への沈着により多臓器障害を来すことで, 中でも繰り返す尿路結石による腎石灰化は高率に合併し, 多くの症例は末期腎不全に至る. 根本的治療法は欠損酵素を補充するための肝移植であるが,...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 51; no. 6; pp. 482 - 485
Main Authors 正木, 紀行, 村上, 徹, 渕之上, 昌平, 中島, 一朗, 岩藤, 和広, 小川, 勇一, 甲斐, 耕太郎, 小山, 一郎, 蜂須賀, 健, 三宮, 彰仁, 北島, 久視子, 近藤, 晃, 三木, 克幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2016
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.51.6_482

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Summary:「I. はじめに」原発性過蓚酸尿症(primary hyperoxaluria type1:PH1)は, 肝臓で産生されるアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(AGT)の欠損により生じる常染色体劣性の遺伝形式をとる疾患である. 発生頻度は12万人に1人といわれており, 本邦においても1962年から2003年までに59例しか報告されていないきわめてまれな疾患である. 病態の本質は過剰に産生された蓚酸の全身への沈着により多臓器障害を来すことで, 中でも繰り返す尿路結石による腎石灰化は高率に合併し, 多くの症例は末期腎不全に至る. 根本的治療法は欠損酵素を補充するための肝移植であるが, 不可逆性の末期腎不全を合併している場合には併せて腎移植も必要となる. 世界的に広く行われている肝腎複合移植は脳死ドナーからの2臓器同時移植が主流であり, 生体ドナーによる肝腎複合移植の報告は2013年までに10例しか報告されていない.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.51.6_482