当院で勤務する救急救命士の院内業務活動の現状と課題
1991年に救急救命士法が制定されて以来,救急救命士の数は年々増加傾向にある。 2014年度末の救急救命士登録者数は,日本救急医療財団の調べでは56,415人である。その主な就職先は消防機関であるが,近年では自衛隊や医療機関への就職も増加傾向にある。しかし,厚生労働省が定める救急救命士法では,その趣旨に基づいて,特定行為を含めた救急救命処置が認められているのは救急用自動車内であって,その活動場所に制限が設けられている。医師の直接指示,助言の得られる病院内という特殊な環境においてすら病院で働く救急救命士にとっては,業務として容認される範囲の法的解釈が困難な状況となっている。そのために救急救命士と...
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Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 139 - 145 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床救急医学会
30.06.2020
日本臨床救急医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1345-0581 2187-9001 |
DOI | 10.11240/jsem.23.139 |
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Summary: | 1991年に救急救命士法が制定されて以来,救急救命士の数は年々増加傾向にある。 2014年度末の救急救命士登録者数は,日本救急医療財団の調べでは56,415人である。その主な就職先は消防機関であるが,近年では自衛隊や医療機関への就職も増加傾向にある。しかし,厚生労働省が定める救急救命士法では,その趣旨に基づいて,特定行為を含めた救急救命処置が認められているのは救急用自動車内であって,その活動場所に制限が設けられている。医師の直接指示,助言の得られる病院内という特殊な環境においてすら病院で働く救急救命士にとっては,業務として容認される範囲の法的解釈が困難な状況となっている。そのために救急救命士としての資格が活かせない,モチベーションの低下につながるなど多くの問題点が指摘されている。今後は地域MC(メディカルコントロール)協議会などとも密に連携をとりながら業務内容の確認をしていく予定であるが,ここにこれまでに当院で行ってきた救急救命士の業務内容の改善,自己意識の改革に向けた独自の取り組みを提示し,病院救命士の置かれた現状と今後の課題について考察する。 |
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ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.23.139 |