難治性急性低音障害型感音難聴における心理療法の試み

急性低音障害型感音難聴 (acute low tone sensorineural hearing loss, 以下ALHLとする) は, その発症のみでなく, 聴力低下の反復や再発, 疾患がもたらす耳鳴や耳閉感, 難聴等の症状など, ストレスが悪循環の元凶ではないかと考えられる。本稿では, 初回ALHL発症より1か月以上経過した時点においても, 難聴・耳鳴・耳閉感などの症状が残存または反復している症例を難治例とし, ストレスからの悪循環を断ち切る目的で心理療法を試みた。心理療法の要否については, 医師自らが問診等で心理学的アプローチをおこない判断することが望ましい。心理療法としては自律訓練法...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 51; no. 2; pp. 117 - 122
Main Authors 佐藤, 美奈子, 大石, 直樹, 井上, 泰宏, 小川, 郁, 片岡, ちなつ, 斎藤, 秀行, 中井, 貴美子, 神崎, 晶, 田副, 真美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2008
日本聴覚医学会
Subjects
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.51.117

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Summary:急性低音障害型感音難聴 (acute low tone sensorineural hearing loss, 以下ALHLとする) は, その発症のみでなく, 聴力低下の反復や再発, 疾患がもたらす耳鳴や耳閉感, 難聴等の症状など, ストレスが悪循環の元凶ではないかと考えられる。本稿では, 初回ALHL発症より1か月以上経過した時点においても, 難聴・耳鳴・耳閉感などの症状が残存または反復している症例を難治例とし, ストレスからの悪循環を断ち切る目的で心理療法を試みた。心理療法の要否については, 医師自らが問診等で心理学的アプローチをおこない判断することが望ましい。心理療法としては自律訓練法, グループ療法が効果を上げたが, 症例ごとの心理療法の適応についても考慮する必要があり, 心理検査がスクリーニングとして有用である。心理検査で, 不安が非常に高い, うつ傾向が明らかとなった場合には, 心理療法のみでは十分な治療効果は期待されないと考えられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.51.117