腸腰筋膿瘍を合併した化膿性脊椎炎の治療経験

腸腰筋膿瘍は, 抗生物質の進歩や栄養状態の改善により比較的稀な疾患とされている. 今回われわれは化膿性脊椎炎からの続発性と考えられる4例の治療に難渋した腸腰筋膿瘍を経験した. 症例は女性2例, 男性2例, 平均年齢は57歳であった. 起炎菌としては, MSSA 1例, MRSA 1例, 肺炎球菌1例, 同定不能例1例であった. 治療は全例に腸腰筋膿瘍の掻爬を行ったが, そのうち3例は椎体病巣掻爬と固定術の追加手術を必要とした. 化膿性脊椎炎からの続発性と考えられる腸腰筋膿瘍は, 渉猟し得た限り本邦での報告は51例であった. 20%に椎体の病巣掻爬が必要であった. 自検例においても, 3例が椎体...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 130 - 135
Main Authors 吉矢, 晋一, 圓尾, 圭史, 草野, 芳生, 山中, 一浩, 森山, 徳秀, 橘, 俊哉, 糸原, 仁, 岡田, 文明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2006
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ISSN1345-9074
1882-1863
DOI10.3753/yotsu.12.130

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Summary:腸腰筋膿瘍は, 抗生物質の進歩や栄養状態の改善により比較的稀な疾患とされている. 今回われわれは化膿性脊椎炎からの続発性と考えられる4例の治療に難渋した腸腰筋膿瘍を経験した. 症例は女性2例, 男性2例, 平均年齢は57歳であった. 起炎菌としては, MSSA 1例, MRSA 1例, 肺炎球菌1例, 同定不能例1例であった. 治療は全例に腸腰筋膿瘍の掻爬を行ったが, そのうち3例は椎体病巣掻爬と固定術の追加手術を必要とした. 化膿性脊椎炎からの続発性と考えられる腸腰筋膿瘍は, 渉猟し得た限り本邦での報告は51例であった. 20%に椎体の病巣掻爬が必要であった. 自検例においても, 3例が椎体の病巣掻爬を加えなければならなかった. 易感染性宿主で敗血症に陥った症例, 再発例や遷延例, 保存療法の無効例や進行性の麻痺の存在, 単純x線上病巣周辺に著しい骨硬化を示すような症例に対しては椎体, 椎間板の郭清および固定術が必要であると考える.
ISSN:1345-9074
1882-1863
DOI:10.3753/yotsu.12.130