頚動脈ステント留置術後,急性期ステント内血栓を繰り返した1例:症例報告

【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)において,治療後のステント内血栓症は非常に重篤で,時に致命的となりうる合併症である.今回我々は治療後短期間にステント内血栓症を繰り返し,その治療に難渋した症例を経験したので報告する.【症例】68歳の男性,両側頚動脈狭窄症に対して両側ともCASによる治療を行うこととした.右側病変に対するCASは問題なく終了したため,2ヵ月間の間隔をおいて左内頚動脈病変に対するCASを施行したが,術後第5,第10,第14病日にステント内血栓症によるステント内閉塞を合併した.ステント内血栓症は可能な限りの薬物治療や新たなステントの...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Neuroendovascular Therapy Vol. 5; no. 3; pp. 188 - 194
Main Authors 石原, 正一郎, 石原, 秀章, 山田, 日出雄, 加藤, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2012
日本脳神経血管内治療学会
Online AccessGet full text
ISSN1882-4072
2186-2494
DOI10.5797/jnet.5.188

Cover

More Information
Summary:【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)において,治療後のステント内血栓症は非常に重篤で,時に致命的となりうる合併症である.今回我々は治療後短期間にステント内血栓症を繰り返し,その治療に難渋した症例を経験したので報告する.【症例】68歳の男性,両側頚動脈狭窄症に対して両側ともCASによる治療を行うこととした.右側病変に対するCASは問題なく終了したため,2ヵ月間の間隔をおいて左内頚動脈病変に対するCASを施行したが,術後第5,第10,第14病日にステント内血栓症によるステント内閉塞を合併した.ステント内血栓症は可能な限りの薬物治療や新たなステントの追加留置にも関わらず繰り返され,第17病日に脳内出血を来し重篤な状態に陥った.【結論】CAS後に繰り返すステント内血栓症に対して長期間の強力な抗血栓療法を行うことは頭蓋内出血の危険を増加させることも念頭に置き,頚動脈血栓内膜剥離術による外科的摘出を含めた治療方針の検討が必要である.
ISSN:1882-4072
2186-2494
DOI:10.5797/jnet.5.188