急激な等尺性肘屈曲力発揮時の上腕二頭筋表面筋電図の特徴

本研究の目的は,急激な力発揮(Rapid)時の表面筋電図の特徴を,最大随意収縮(MVC)時の表面筋電図を比較対象として,正規化と運動単位(MU)活動の観点から調べることであった.そのために,肘関節屈曲力と平均整流値(ARV),中央周波数(MDF),筋線維伝導速度(MFCV)といった表面筋電位変数を用いた. その結果,屈曲力とARVの関係から,Rapid時の表面筋電図振幅が屈曲力の割に大きくなる被験者群(グループI)とそうでない被験者群(グループII)に分けられた.すなわち,グループIIの場合は,従来の正規化手法の適用が可能であるのに対し,グループIの場合は,それに加えて何らかの較正が必要になる...

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Published in人間工学 Vol. 47; no. 5; pp. 183 - 189
Main Authors 細谷, 聡, 岡田, 守彦, 増田, 正, 齋藤, 健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 2011
日本人間工学会
Subjects
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ISSN0549-4974
1884-2844
DOI10.5100/jje.47.183

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Summary:本研究の目的は,急激な力発揮(Rapid)時の表面筋電図の特徴を,最大随意収縮(MVC)時の表面筋電図を比較対象として,正規化と運動単位(MU)活動の観点から調べることであった.そのために,肘関節屈曲力と平均整流値(ARV),中央周波数(MDF),筋線維伝導速度(MFCV)といった表面筋電位変数を用いた. その結果,屈曲力とARVの関係から,Rapid時の表面筋電図振幅が屈曲力の割に大きくなる被験者群(グループI)とそうでない被験者群(グループII)に分けられた.すなわち,グループIIの場合は,従来の正規化手法の適用が可能であるのに対し,グループIの場合は,それに加えて何らかの較正が必要になることが示唆された.さらにこのことから,Rapid時の表面筋電図をMVC時の表面筋電図で正規化する際には,対象となる被験者がどちらのグループに属するかを別途明らかにしておく必要があることも示唆された. 上記のような特徴に加え,MFCVはグループIとIIの間,あるいはRapidとMVCの間で差が認められなかった.これらのような,屈曲力と表面筋電位変数の特徴から,Rapid時のMU活動には,活動参加MU数がMVC時より少ないことや,少数のFタイプMU(収縮速度,収縮力およびサイズが大きなFastタイプMU)が優先的に活動参加し同期する,などの可能性があると推察された.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.47.183