妊娠期・授乳期の母親ラット, 仔ラットに対するゲニステインとダイゼイン投与における生体影響の相違
本研究は母親ラットとその母親から産まれた仔ラットに対して, 大豆イソフラボンの主成分であるゲニステイン, ダイゼイン (0.50g/kg diet) を含む飼料の投与による生体影響の相違を比較検討し, それらの安全性を確認することを目的として実験を行った。母親ラットではゲニステイン, ダイゼイン投与による妊娠, 出産に対する影響を, 仔ラットでは成長への影響をそれぞれ観察した。さらに母乳のみを摂取している仔ラットの胃内容物および血清中のゲニステイン, ダイゼイン, エクオール濃度を測定した。 1. 母親ラットへの飼料からのダイゼイン投与により母親ラットの飼料摂取量, 飼料効率が低下し, 体重増...
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Published in | 栄養学雑誌 Vol. 64; no. 3; pp. 161 - 172 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
01.06.2006
日本栄養改善学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-5147 1883-7921 |
DOI | 10.5264/eiyogakuzashi.64.161 |
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Summary: | 本研究は母親ラットとその母親から産まれた仔ラットに対して, 大豆イソフラボンの主成分であるゲニステイン, ダイゼイン (0.50g/kg diet) を含む飼料の投与による生体影響の相違を比較検討し, それらの安全性を確認することを目的として実験を行った。母親ラットではゲニステイン, ダイゼイン投与による妊娠, 出産に対する影響を, 仔ラットでは成長への影響をそれぞれ観察した。さらに母乳のみを摂取している仔ラットの胃内容物および血清中のゲニステイン, ダイゼイン, エクオール濃度を測定した。 1. 母親ラットへの飼料からのダイゼイン投与により母親ラットの飼料摂取量, 飼料効率が低下し, 体重増加が抑制された。さらに1匹の母親ラットが出産した仔ラット全体重量でもD群が低値を示した。ゲニステイン投与ではダイゼイン投与と同様の影響は観察されず, ゲニステインとダイゼインでは生体影響が異なることが示された。 2. 母乳を介してダイゼインを摂取した仔ラットで体重増加が抑制された。仔ラットの臓器重量, AGD, 大腿骨乾燥重量では授乳期から成長期において一貫した影響は観察されなかった。 3. 母親ラット, 仔ラットへのゲニステイン, ダイゼイン投与は甲状腺ホルモン濃度に明らかな影響を示さなかった。 4. 母乳を介してダイゼインを摂取した仔ラットの胃内容物および血清中に, ダイゼインの代謝産物であるエクオールが多量に検出された。これにより, ダイゼインの作用の一部はエクオールの強い生理作用を含む可能性が示唆された。 5. ダイゼイン投与により観察された体重増加抑制を除いて, 母親ラット, 仔ラットのどちらにおいても特に健康上の不都合は観察されなかった。 |
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ISSN: | 0021-5147 1883-7921 |
DOI: | 10.5264/eiyogakuzashi.64.161 |