荷重負荷を用いた階段下り歩行時におけるケイデンスの違いが下肢の遅発性筋肉痛に及ぼす影響

「緒言」筋肉痛は, 身体活動に伴い生じる現象であり, 発現時期により分類され, それぞれ原因が異なる. 運動中や運動直後に生じる早期性筋肉痛は, 筋活動に伴う発痛物質や筋内圧の増加により引き起こされる. 一方, 運動8~12時間後に発現する遅発性筋肉痛(Delayed-Onset Muscle Soreness: DOMS)は, 伸張性筋収縮を伴う運動後に特異的に発現する. 伸張性筋収縮は, 筋が引き伸ばされながら力発揮をする収縮様式である. 伸張性筋収縮を含む運動は, 興奮収縮連関におけるT管と筋小胞体間の伝達機構の損傷や筋原線維レベルでの構造の損傷を生じさせる. 遅発性筋肉痛が生じている筋...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 22; no. 4; pp. 185 - 191
Main Authors 吉田, 升, 玉里, 祐太郎, 小野寺, 昇, 和田, 拓真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2017
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.22.4_185

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Summary:「緒言」筋肉痛は, 身体活動に伴い生じる現象であり, 発現時期により分類され, それぞれ原因が異なる. 運動中や運動直後に生じる早期性筋肉痛は, 筋活動に伴う発痛物質や筋内圧の増加により引き起こされる. 一方, 運動8~12時間後に発現する遅発性筋肉痛(Delayed-Onset Muscle Soreness: DOMS)は, 伸張性筋収縮を伴う運動後に特異的に発現する. 伸張性筋収縮は, 筋が引き伸ばされながら力発揮をする収縮様式である. 伸張性筋収縮を含む運動は, 興奮収縮連関におけるT管と筋小胞体間の伝達機構の損傷や筋原線維レベルでの構造の損傷を生じさせる. 遅発性筋肉痛が生じている筋は, Z帯の乱れや横紋構造の破壊を特徴とした損傷が運動直後から観察され, 運動48時間後までに広範囲になる. このことから, 筋や結合組織の損傷およびそれに伴う炎症反応は, 遅発性筋肉痛のトリガーであると考えられている.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.22.4_185