COVID-19による長期活動休止がその後の試合時の外傷に与える影響 ―関東大学アメリカンフットボールにおける検討
我が国の大学アメリカンフットボール(AF)において,COVID-19 による長期活動休止が,その後の試合(2020 年秋季公式戦)の外傷内容に与えた影響について検討した. 関東学生AF 連盟に提出された外傷報告書の中で,A:2020 年と,B:1991~2010 年(20 年間)における外傷内容を分析し,両者の比較検討を行った.検討項目は,①1 試合外傷発生率,②外傷分類,③外傷部位,④外傷名であった. 外傷発生率(件/試合)は,A:2.34,B:1.33 とA が有意(p<0.05)に多かった.外傷分類では,打撲・挫傷は全外傷中,A:32.4%,B:16.7%,骨折はA:9.0%,B:2.4...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 31; no. 1; pp. 24 - 30 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会
31.01.2023
日本臨床スポーツ医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1346-4159 2758-3767 |
DOI | 10.57474/jjcsm.31.1_24 |
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Summary: | 我が国の大学アメリカンフットボール(AF)において,COVID-19 による長期活動休止が,その後の試合(2020 年秋季公式戦)の外傷内容に与えた影響について検討した. 関東学生AF 連盟に提出された外傷報告書の中で,A:2020 年と,B:1991~2010 年(20 年間)における外傷内容を分析し,両者の比較検討を行った.検討項目は,①1 試合外傷発生率,②外傷分類,③外傷部位,④外傷名であった. 外傷発生率(件/試合)は,A:2.34,B:1.33 とA が有意(p<0.05)に多かった.外傷分類では,打撲・挫傷は全外傷中,A:32.4%,B:16.7%,骨折はA:9.0%,B:2.4% と,それぞれA が有意(p<0.05)に多く,外傷部位では,下腿はA:14.5%,B:7.8%,大腿はA:9.0%,B:4.9% と,各々A が有意(p<0.05)に多かった.また外傷名は,大腿挫傷・打撲(肉ばなれを含む)がA:8.3%,B:4.0%,下腿筋痙攣がA:8.3%,B:2.9% であり,各々A が有意(p<0.05)に多かった. これらの要因として,長期活動休止により軟部組織の柔軟性が低下し,プレー中の急激な動きで大腿,下腿の筋,腱に過剰な負荷がかかったためと考えられた.また,練習不足によるプレー技術の低下で受傷回避の動きが上手くできなかったこと,あるいは骨自体の強度の低下等が骨折増加の1 因と推測した. |
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ISSN: | 1346-4159 2758-3767 |
DOI: | 10.57474/jjcsm.31.1_24 |