視能訓練士が体験したヒヤリハット事例の発生原因についての検討

視能訓練士が、眼科外来で経験したヒヤリハット事例について、内容・経験年数・発生日時および発生時の業務の多忙度について調査し、発生原因に関する検討を行った。 点眼と検査に関する報告が多数あった。報告の中に重大事故は無かったが、「点眼時の薬剤間違い」「患者の間違い」など、重大事故につながる可能性のあるインシデントが多かった。「点眼ミス」「診察室を間違えて案内する」等、確認不足が原因となるヒヤリハット報告は経験年数の短い者から多数あり、経験年数が長くなるにつれその割合が減少した。しかし、経験年数の長い者からも「眼鏡処方検査でのカルテ記載ミス」の報告があり、経験年数だけでなく、従事する業務内容によって...

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Published inJapanese orthoptic journal Vol. 35; pp. 181 - 187
Main Authors 南雲, 幹, 田口, 亜希子, 石井, 祐子, 井上, 治郎, 福永, 紗弥香, 山崎, 幸加, 若倉, 雅登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 31.08.2006
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.35.181

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Summary:視能訓練士が、眼科外来で経験したヒヤリハット事例について、内容・経験年数・発生日時および発生時の業務の多忙度について調査し、発生原因に関する検討を行った。 点眼と検査に関する報告が多数あった。報告の中に重大事故は無かったが、「点眼時の薬剤間違い」「患者の間違い」など、重大事故につながる可能性のあるインシデントが多かった。「点眼ミス」「診察室を間違えて案内する」等、確認不足が原因となるヒヤリハット報告は経験年数の短い者から多数あり、経験年数が長くなるにつれその割合が減少した。しかし、経験年数の長い者からも「眼鏡処方検査でのカルテ記載ミス」の報告があり、経験年数だけでなく、従事する業務内容によっても報告の内容が変化していると考えられた。ヒヤリハット報告数は、多忙時に多くなっている傾向があったが、報告時の自覚的多忙度では「多忙」よりも「普通」と答えた者が多く、報告者自身が「多忙」と感じていない、もしくは個人的な「多忙」の状態をミスの原因にしたくないという意識が働いていた可能性があり、指示系統の適切性や確認の手順など、システムエラーに関する検討が重要と考えられた。よって、ヒヤリハット事例は、「確認不足」「経験年数による業務内容の変化」「多忙」等の因子が複雑に絡み合って発生していると考えられた。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.35.181