小学生の立位体前屈制限と個々の 発育の特徴~6年間の運動器検診縦断的検討
発育期の運動器の変化を捉えるためには縦断的分析が重要である.その一方で,個々の発育状況と運動器検診結果を関連づけて分析した報告は極めて少ない.我々は健康手帳を用いた運動器検診の継続的な評価を実施しており,そのなかでも前屈制限の所見に着目し,個々の発育状況から特徴を捉えることを目的として,小学生の個人の6 年間の検診結果を追跡した.茨城県の公立小学校1 校の6 年間の検診結果と発育データが揃っている39 名を分析対象とした.個々の身長データから身長成長速度曲線を描き,take-off とpeak velocity の出現年齢を確認した.1 年時に所見を有していなかった集団のうち,6 年間で一度で...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 31; no. 1; pp. 76 - 85 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会
31.01.2023
日本臨床スポーツ医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1346-4159 2758-3767 |
DOI | 10.57474/jjcsm.31.1_76 |
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Summary: | 発育期の運動器の変化を捉えるためには縦断的分析が重要である.その一方で,個々の発育状況と運動器検診結果を関連づけて分析した報告は極めて少ない.我々は健康手帳を用いた運動器検診の継続的な評価を実施しており,そのなかでも前屈制限の所見に着目し,個々の発育状況から特徴を捉えることを目的として,小学生の個人の6 年間の検診結果を追跡した.茨城県の公立小学校1 校の6 年間の検診結果と発育データが揃っている39 名を分析対象とした.個々の身長データから身長成長速度曲線を描き,take-off とpeak velocity の出現年齢を確認した.1 年時に所見を有していなかった集団のうち,6 年間で一度でも前屈制限が出現した者を「出現群」と定義した.出現群では,take-off とpeak velocity の出現年齢とともに,前屈制限が初めて出現した時期を個々の年齢で算出した.1 年時に前屈制限を有していなかった者は,男子19 名,女子12 名であった.この集団の6 年間の検診記録を追跡したところ,前屈制限の出現群は男子9 名,女子3 名であった.前屈制限の出現年齢には個人差があり,男子においては,9 名中4 名(44.4%)がage at take-off の±1.0 歳の範囲内であった.今後,運動習慣,運動能力や,環境要因などの発育期の児童・生徒に関与する多様な因子を含めた多変量解析が求められる. |
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ISSN: | 1346-4159 2758-3767 |
DOI: | 10.57474/jjcsm.31.1_76 |