月経周期による女性の皮膚温度感受性の変化および空調環境への応用

「1. 諸言」1960年代以降, 空調の急速な普及によって, 人々は快適性の保たれた室内環境で過ごすことが主となった. しかし, この快適性には個人差があるため全ての人が快適さを感じているとは限らず, 冷房病などの健康障害が問題となっている. 特に女性は男性よりも冷房病の訴え率が高いとされており, その理由として女性の方が薄着であることに加え, 伸縮性の強い衣服による身体の締め付けによって自律神経活動を抑制し, 間接的に冷えを助長しているかもしれないことが報告されている. さらに, 女性には月経周期が存在し, 女性ホルモンの変動を伴う. 黄体期ではエストロゲンと協働したプロゲステロンの作用によ...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 21; no. 4; pp. 141 - 150
Main Authors 山下, 穂南美, 安河内, 朗, 大塚, 優希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2016
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.21.4_141

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Summary:「1. 諸言」1960年代以降, 空調の急速な普及によって, 人々は快適性の保たれた室内環境で過ごすことが主となった. しかし, この快適性には個人差があるため全ての人が快適さを感じているとは限らず, 冷房病などの健康障害が問題となっている. 特に女性は男性よりも冷房病の訴え率が高いとされており, その理由として女性の方が薄着であることに加え, 伸縮性の強い衣服による身体の締め付けによって自律神経活動を抑制し, 間接的に冷えを助長しているかもしれないことが報告されている. さらに, 女性には月経周期が存在し, 女性ホルモンの変動を伴う. 黄体期ではエストロゲンと協働したプロゲステロンの作用により, 自律神経活動力が低下し血管拡張が抑制され, 熱放散量が低下することによって基礎体温が上昇する. このことから, 月経周期に伴って変動する女性ホルモンが, 室内空間における温熱的快適性にも関係してくるのではないかと考えられる.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.21.4_141