男性長距離走選手の厚底シューズ着用がランニング動作に及ぼす影響の検討
(目的)厚底シューズは従来型シューズと比較して走行時のエネルギー効率を向上させると言われている一方,股関節障害の発生リスクが高くなると報告されている.本研究は厚底シューズと従来型シューズのランニング動作の違いを比較することを目的とした. (方法)対象は,大学男性長距離走選手15名とした.厚底シューズにはNike ZoomX Vaporfly Next%2 を使用した.トレッドミル走行をハイスピードカメラで撮影し,接地時間,滞空時間,ステップ頻度,ステップ長と立脚期における各関節角度,角速度,角加速度を算出した.接地から離地までを100パーセンタイル化し,5%ごとの値をシューズ間で比較した. (...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 77 - 84 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会
2025
日本臨床スポーツ医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1346-4159 2758-3767 |
DOI | 10.57474/jjcsm.33.1_77 |
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Summary: | (目的)厚底シューズは従来型シューズと比較して走行時のエネルギー効率を向上させると言われている一方,股関節障害の発生リスクが高くなると報告されている.本研究は厚底シューズと従来型シューズのランニング動作の違いを比較することを目的とした. (方法)対象は,大学男性長距離走選手15名とした.厚底シューズにはNike ZoomX Vaporfly Next%2 を使用した.トレッドミル走行をハイスピードカメラで撮影し,接地時間,滞空時間,ステップ頻度,ステップ長と立脚期における各関節角度,角速度,角加速度を算出した.接地から離地までを100パーセンタイル化し,5%ごとの値をシューズ間で比較した. (結果)厚底シューズは従来型シューズに比べ,接地時間を2.3%短縮,滞空時間を6.4%延長させた(p<0.05). また, 厚底シューズは従来型シューズに比べ立脚終期の足関節底屈角速度が有意に小さく,股関節・膝関節の伸展角速度および股関節・膝関節・足関節の全ての関節の角加速度が有意に大きかった(p<0.05). (結語)厚底シューズは従来型シューズに比べ,接地時間の短縮,滞空時間の延長がみられ,立脚終期の股関節・膝関節・足関節の角加速度が大きいことが示された.厚底シューズによる立脚終期の股関節・膝関節・足関節の角加速度の増大は,推進期における各関節のトルクの増大が示唆される. |
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ISSN: | 1346-4159 2758-3767 |
DOI: | 10.57474/jjcsm.33.1_77 |