75歳以上在宅要支援・要介護高齢者における全身の骨格筋量と舌圧に関する予備的研究

口に取り込んだ食品を筋肉性の組織である舌が口蓋前方部との間で潰す力を舌圧と呼ぶ.舌圧は客観的な口腔機能の指標の一つである.全身の骨格筋量の低下は身体機能の低下や障害との関連が指摘されている.しかしながら全身の骨格筋量の低下と舌圧との関連は十分に解明されていない.本研究は在宅要支援・要介護高齢者における全身の骨格筋量と舌圧との関連を検討することを目的とした.75歳以上で在宅医療・介護サービスを利用している男女64名(平均年齢=86.4歳,男性18名,女性46名)を調査対象とした.舌圧測定器を用いて舌圧を測定した.また,体成分分析装置を用いて四肢骨格筋量を計測した.その後,四肢骨格筋量を身長の二乗...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 68; no. 3; pp. 145 - 152
Main Authors 角田, 聡子, 安細, 敏弘, 酒井, 理恵, 廣島屋, 貴俊, 濱嵜, 朋子, 筒井, 修一, 片岡, 正太, 岩﨑, 正則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2018
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.68.3_145

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Summary:口に取り込んだ食品を筋肉性の組織である舌が口蓋前方部との間で潰す力を舌圧と呼ぶ.舌圧は客観的な口腔機能の指標の一つである.全身の骨格筋量の低下は身体機能の低下や障害との関連が指摘されている.しかしながら全身の骨格筋量の低下と舌圧との関連は十分に解明されていない.本研究は在宅要支援・要介護高齢者における全身の骨格筋量と舌圧との関連を検討することを目的とした.75歳以上で在宅医療・介護サービスを利用している男女64名(平均年齢=86.4歳,男性18名,女性46名)を調査対象とした.舌圧測定器を用いて舌圧を測定した.また,体成分分析装置を用いて四肢骨格筋量を計測した.その後,四肢骨格筋量を身長の二乗で除した値を骨格筋指数(SMI)として算出した.そして,説明変数をSMI,目的変数を舌圧とするロバスト回帰分析を行い両者の関連を評価した.共変量は単変量解析において舌圧と有意な関連を認めた因子とした.単変量解析にてSMIと舌圧の間に有意な正の関連を認めた.続いて多変量解析を実施した結果,関連する他の因子で調整した後も,SMIと舌圧の有意な正の関連は保持された(回帰係数=3.6,95%信頼区間=1.6, 5.5,p<0.01).本研究結果から,75歳以上の在宅要支援・要介護高齢者において全身の筋肉量と舌圧の間には正の関連があることが示された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.68.3_145