都市部在住の健康高齢者におけるエネルギー充足率に及ぼす社会・心理・生活身体状態の影響

東京都市部在住の健康な高齢者を対象に, 食物摂取状況からエネルギー充足割合を明らかにし, その充足割合と社会・心理・生活身体的要因との関連について検討した。対象は, 東京都小金井市在住の在宅高齢者で, 年齢65~79歳までの男女161人 (男性72人, 女性89人) に対し, 3日間の食物記録法による栄養調査を行った。以下にそれらの結果を示す。 1) エネルギー充足率は平均113%であり, 充足率が90%未満の “低エネルギー充足” の割合は13%であった。 2) 関連要因の項目の中で, 高学歴, 健康度自己評価が高い者ほどエネルギー充足率は有意に高く, 視力が不自由な者ほどエネルギー充足率が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in栄養学雑誌 Vol. 59; no. 3; pp. 117 - 125
Main Authors 鈴木, 隆雄, 柴田, 博, 岩間, 範子, 吉田, 英世, 湯川, 晴美, 熊谷, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.06.2001
日本栄養改善学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.59.117

Cover

More Information
Summary:東京都市部在住の健康な高齢者を対象に, 食物摂取状況からエネルギー充足割合を明らかにし, その充足割合と社会・心理・生活身体的要因との関連について検討した。対象は, 東京都小金井市在住の在宅高齢者で, 年齢65~79歳までの男女161人 (男性72人, 女性89人) に対し, 3日間の食物記録法による栄養調査を行った。以下にそれらの結果を示す。 1) エネルギー充足率は平均113%であり, 充足率が90%未満の “低エネルギー充足” の割合は13%であった。 2) 関連要因の項目の中で, 高学歴, 健康度自己評価が高い者ほどエネルギー充足率は有意に高く, 視力が不自由な者ほどエネルギー充足率が低かった。 3) エネルギー充足率と関連した要因の中で, 最終学歴は, 多重ロジスティック回帰分析によって他の要因をコントロールしても, エネルギー充足率に有意な正の影響を与えていた。 健康な高齢者のエネルギー充足率と関連する要因は, 最終学歴を始め, 健康度自己評価, 視力の良好さが考えられた。高齢期の食事において, これらの要因は, エネルギー摂取の不足から低栄養を引き起こす可能性があると思われた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.59.117