大学病院におけるめまい症例の統計的検討とめまい疾患の診断基準の問題点

2001年4月から2003年9月までに, 徳島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科をめまいを主訴に初診した626症例について, 日本めまい平衡医学会のめまい診断基準化のための資料を一部改変して診断基準として用い, 疾患頻度を検討した. BPPVが単一疾患としては最も多く, 疑い例を含めると全体の1/3を占め, 続いてメニエール病が疑い例を含めて12%と多く認められた. BPPVとメニエール病を含めた末梢性前庭障害は65%で, 全めまい症例の約2/3であった. 中枢性障害は7%で, そのうち脳占拠性病変および脳梗塞はそれぞれ1.0%, 1.9%に認められた. 血圧異常によるめまいは4.0%に認められた...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 108; no. 9; pp. 842 - 849
Main Authors 関根, 和教, 武田, 憲昭, 佐藤, 豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2005
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.108.842

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Summary:2001年4月から2003年9月までに, 徳島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科をめまいを主訴に初診した626症例について, 日本めまい平衡医学会のめまい診断基準化のための資料を一部改変して診断基準として用い, 疾患頻度を検討した. BPPVが単一疾患としては最も多く, 疑い例を含めると全体の1/3を占め, 続いてメニエール病が疑い例を含めて12%と多く認められた. BPPVとメニエール病を含めた末梢性前庭障害は65%で, 全めまい症例の約2/3であった. 中枢性障害は7%で, そのうち脳占拠性病変および脳梗塞はそれぞれ1.0%, 1.9%に認められた. 血圧異常によるめまいは4.0%に認められた. 過去のめまい臨床統計12編の報告と比較検討すると, 診断基準の違いでめまい疾患の頻度が大きく異なっていた. しかし, 日本めまい平衡医学会の基準に基づき診断された本統計と過去の2編の報告とを比較してみると, 疾患頻度はBPPV30~40%, メニエール病7~10%, BPPV・メニエール病以外の末梢性前庭障害15~20%, 中枢性障害6~8%と類似していた. めまい疾患の臨床統計には, 統一された診断基準を使用すべきである.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.108.842