遺伝性銅代謝異常症の臨床とその分子病態

「はじめに」遺伝性銅代謝異常症は, Wilson病およびMenkes病が代表的疾患でありよく知られている. 近年, 無セルロプラスミン血症が注目され, 銅蛋白体のセルロプラスミンの生体内における作用としてのフェロオキシダーゼ活性と鉄代謝面での関係が議論されている. さらに, この10年の間に銅代謝に関して, 細胞レベルにおける詳細な生理作用が判明してきた. 引き金は, Menkes病の責任遺伝子のクローニング1-3)と引き続いたWilson病の責任遺伝子の単離であったと言って過言ではない. Menkes病責任遺伝子から誘導される蛋白は, ATP-7Aと命名され, 細胞内銅輸送膜蛋白であり, W...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 4; pp. 307 - 315
Main Author 青木, 継稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2004
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.15.307

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Summary:「はじめに」遺伝性銅代謝異常症は, Wilson病およびMenkes病が代表的疾患でありよく知られている. 近年, 無セルロプラスミン血症が注目され, 銅蛋白体のセルロプラスミンの生体内における作用としてのフェロオキシダーゼ活性と鉄代謝面での関係が議論されている. さらに, この10年の間に銅代謝に関して, 細胞レベルにおける詳細な生理作用が判明してきた. 引き金は, Menkes病の責任遺伝子のクローニング1-3)と引き続いたWilson病の責任遺伝子の単離であったと言って過言ではない. Menkes病責任遺伝子から誘導される蛋白は, ATP-7Aと命名され, 細胞内銅輸送膜蛋白であり, Wilson病責任遺伝子から誘導される蛋白は, ATP-7Bと名付けられて, ATP, 7Aと同じATPase familyの一員であり両者のhomologyが高い細胞内銅輸送蛋白である. ATP-7AとATP-7Bの発見を契機にWilson病とMenkes病の臨床像と病態解明が明らかになってきたと同時に, 生理的な細胞内銅代謝に関する研究が大きく進展した.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.15.307