在宅要支援・要介護者における舌圧と栄養素の摂取量の関連

本横断研究は,介護保険制度における要支援または要介護の認定を受け,在宅医療・介護サービスを利用している者(以下「在宅要支援・要介護者」)において,舌圧と栄養素の摂取量と関連を明らかにすることを目的とした.研究には在宅要支援・要介護者95名(平均年齢:84.6歳)が参加した.舌圧測定器を用いて舌圧を測定し,20 kPa未満を「低値」とした.簡易型自記式食事歴法質問票を用いて5種の栄養素(たんぱく質,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンC,葉酸)の摂取量を求め,先行研究にもとづく基準量,および日本人の食事摂取基準(2015年版)で示された推奨量または目安量をもとに摂取基準に達しているかどうかを評価した...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 189 - 197
Main Authors 角田, 聡子, 安細, 敏弘, 酒井, 理恵, 山田, 志麻, 岡田, 圭子, 濱嵜, 朋子, 筒井, 修一, 片岡, 正太, 岩﨑, 正則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2019
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.69.4_189

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Summary:本横断研究は,介護保険制度における要支援または要介護の認定を受け,在宅医療・介護サービスを利用している者(以下「在宅要支援・要介護者」)において,舌圧と栄養素の摂取量と関連を明らかにすることを目的とした.研究には在宅要支援・要介護者95名(平均年齢:84.6歳)が参加した.舌圧測定器を用いて舌圧を測定し,20 kPa未満を「低値」とした.簡易型自記式食事歴法質問票を用いて5種の栄養素(たんぱく質,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンC,葉酸)の摂取量を求め,先行研究にもとづく基準量,および日本人の食事摂取基準(2015年版)で示された推奨量または目安量をもとに摂取基準に達しているかどうかを評価した.舌圧を説明変数,摂取量が基準に達しない栄養素の数の合計数(最小:0,最大:5)を目的変数とするポアソン回帰分析を実施した.結果として舌圧が20 kPa以上の者と比較して,20 kPa未満の者は摂取量が基準に達しない栄養素の数が有意に多かった.すなわち,基準量未満の栄養素の合計数では率比が1.8(95% 信頼区間:1.2‒2.7),推奨量または目安量未満の栄養素の合計数では率比が1.7(95% 信頼区間:1.2‒2.5)であった.結論として,舌圧が低い在宅要支援・要介護者は栄養素が十分に摂取できていない可能性があることが本研究から示された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.69.4_189