上顎骨の下方移動後にチタンメッシュプレートにより骨片固定した顔面非対称の2例

「緒言」垂直的な不正に起因した顔面非対称症例の多くは, 下顎骨だけでなく上顎骨にも変形や偏位がみられる. このような症例では, Le Fort I型骨切り術により片側性の上顎骨上方移動を図り, 顔面非対称を改善することが多い. 一方, 片側性の上顎骨垂直的劣成長を特徴とする症例では, 上顎骨の上方移動によって顔貌や咬合の改善を図ることは難しく, 片側性の下方移動が必要となる. しかしながら, このような下方移動では良好な術後安定性を得ることが難しいと知られている. すなわちProffitらは, Le Fort I型骨切り術を施行した症例を上顎大臼歯の垂直的移動方向によって上方移動群, 垂直的変...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 18 - 32
Main Authors 坂下, 英明, 須田, 直人, 佐々木, 会, 上里, 忠成, 真野, 樹子, 重松, 久夫, 川尻, 朱美, 東金, 由莉, 長谷川, 紘也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2020
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.30.18

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Summary:「緒言」垂直的な不正に起因した顔面非対称症例の多くは, 下顎骨だけでなく上顎骨にも変形や偏位がみられる. このような症例では, Le Fort I型骨切り術により片側性の上顎骨上方移動を図り, 顔面非対称を改善することが多い. 一方, 片側性の上顎骨垂直的劣成長を特徴とする症例では, 上顎骨の上方移動によって顔貌や咬合の改善を図ることは難しく, 片側性の下方移動が必要となる. しかしながら, このような下方移動では良好な術後安定性を得ることが難しいと知られている. すなわちProffitらは, Le Fort I型骨切り術を施行した症例を上顎大臼歯の垂直的移動方向によって上方移動群, 垂直的変化のない群, 下方移動群に分類した. その結果, 上方移動群では術後に2mm以上の骨片の後戻りはみられなかった. 一方, 下方移動群では, 上顎骨の水平方向における後戻りはわずかであったが, 上方への後戻りが生じやすく, 平均3.3mm下方移動した16例中4例で2mm以上の後戻りがあったと報告している.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.30.18