間欠的完全経腸栄養療法導入時におけるクローン病患者の食事摂取状況

クローン病 (CD) の緩解維持療法, 間欠的完全経腸栄養療法 (i-TEN療法) では, 完全な成分栄養剤 (ED) 摂取期間に消化管を安静に保つことにより, 通常食摂取期間に比較的自由な食品選択を可能とすることを期待している。本研究では, i-TEN療法による食事摂取状況ならびに患者のQOLへの影響を検討し, 従来の在宅経腸栄養療法 (HEN) を受けている患者や通常食を摂取している患者と比較した。調査対象者は, 各群の平均年齢, 推定発症年齢, 罹患歴などに有意な差は認められず, どの群も20歳代の男性に多く, 長期にわたって継続するという我が国のCD患者の特徴をよく反映していた。また,...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 60; no. 5; pp. 231 - 237
Main Authors 灘井, 城, 山本, 由喜子, 薮添, 朋子, 藤原, 政嘉, 中村, 志郎, 松本, 誉之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.10.2002
日本栄養改善学会
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.60.231

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Summary:クローン病 (CD) の緩解維持療法, 間欠的完全経腸栄養療法 (i-TEN療法) では, 完全な成分栄養剤 (ED) 摂取期間に消化管を安静に保つことにより, 通常食摂取期間に比較的自由な食品選択を可能とすることを期待している。本研究では, i-TEN療法による食事摂取状況ならびに患者のQOLへの影響を検討し, 従来の在宅経腸栄養療法 (HEN) を受けている患者や通常食を摂取している患者と比較した。調査対象者は, 各群の平均年齢, 推定発症年齢, 罹患歴などに有意な差は認められず, どの群も20歳代の男性に多く, 長期にわたって継続するという我が国のCD患者の特徴をよく反映していた。また, 緩解維持療法開始時において, 炎症の指標である白血球数やCRPの平均値はともに, i-TEN患者とHEN患者の間で有意差がなかった。 食品摂取状況調査の結果, 50%以上の患者が摂取しない食品は, HEN患者では22種類あったが, i-TEN患者では16種類であった。また, i-TEN患者ではHEN患者に比べて日常食べている, かつ食べても症状がないなど安心と認識できる食品の種類がやや多い傾向にあった。さらにi-TEN患者では, たけのこ, レンコン, ごぼう, ぜんまいなどの食物繊維の多い食品や, ハンバーガー, フライドポテトなど, CD患者において禁忌食品とされている食品でも日常食べている, 食べても症状がないと認識している患者の割合が比較的高い傾向にあり, 幅広い食品選択が可能になっていることが推察された。また, i-TEN患者は, HEN患者と比較して外食や食品選び, 調理に対して過敏になっていないことなど, 食事療法継続の上でもストレスの少ないことがうかがわれた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.60.231