現在歯数28歯以上と28歯未満の成人集団における歯の喪失に関連する要因の違い─5年間のコホート研究
歯の喪失は全身の健康状態に影響を及ぼすため,早期の段階から予防することが重要である.喪失歯に関連する要因は多様で,現在歯数によって異なる可能性がある.そこで本研究では健診を受けた成人を対象に,28歯以上と28歯未満の者に分け,5年後における歯の喪失に関連する因子が異なるかを検討することを目的とした.朝日大学病院で健診を受診した者のうち,5年後も同様の健診を受診した292名(男性193名,女性99名)を対象とした.5年間で1歯以上の歯の喪失の有無を目的変数とし,喪失に関連する要因を説明変数とした変数減少法による二項ロジスティック回帰分析を行った.5年間の歯の喪失発生者率は28歯以上と28歯未満で...
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Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 279 - 286 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2023
日本口腔衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.73.4_279 |
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Summary: | 歯の喪失は全身の健康状態に影響を及ぼすため,早期の段階から予防することが重要である.喪失歯に関連する要因は多様で,現在歯数によって異なる可能性がある.そこで本研究では健診を受けた成人を対象に,28歯以上と28歯未満の者に分け,5年後における歯の喪失に関連する因子が異なるかを検討することを目的とした.朝日大学病院で健診を受診した者のうち,5年後も同様の健診を受診した292名(男性193名,女性99名)を対象とした.5年間で1歯以上の歯の喪失の有無を目的変数とし,喪失に関連する要因を説明変数とした変数減少法による二項ロジスティック回帰分析を行った.5年間の歯の喪失発生者率は28歯以上と28歯未満では,それぞれ22.1%と34.5%であった.二項ロジスティック回帰分析の結果,28歯以上では飲酒習慣(あり,オッズ比=2.81,95% 信頼区間:1.37–5.77)とう蝕(あり,オッズ比=3.19,95% 信頼区間:1.39–7.37)が,28歯未満では歯周ポケット深さ(≥6mm,オッズ比=20.38,95% 信頼区間:1.72–240.89)が歯の喪失の有無に有意に関連していた.結論として,現在歯数を28歯で分けて分析すると,歯の喪失発生者率やそれに関連する要因が異なり,28歯以上ではう蝕,28歯未満では歯周病対策が重要であることが示唆された. |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.73.4_279 |