妊婦の経時的姿勢,運動変化が腰部に与える影響

本研究では妊婦期の姿勢,運動の経時的変化が腰部へ及ぼす影響を知るために妊娠24週と32週での静止立位時と歩行時の体幹前後屈モーメントを3次元動作解析装置にて計測した。立位では2例で体幹角度と体幹モーメントは比例関係を示していたが,1例では妊娠経過と共に体幹後傾角度増加にもかかわらず体幹前屈モーメントは減少していた。このことは妊娠経過に伴う腹部膨隆により生じる身体重心の前方移動によりHAT(頭部,両上肢,体幹)の重心が前下方へ移動し回転中心と重力とのレバーアームが短くなった為と考えた。歩行時ではHATの重心に生じる慣性力と体幹角度が体幹前後屈モーメントに影響を与える為,体幹後屈傾向の例では両脚支...

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Published in理学療法科学 Vol. 22; no. 2; pp. 281 - 285
Main Authors 藤沢, しげ子, 勝平, 純司, 武田, 要
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2007
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ISSN1341-1667
2434-2807
DOI10.1589/rika.22.281

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Summary:本研究では妊婦期の姿勢,運動の経時的変化が腰部へ及ぼす影響を知るために妊娠24週と32週での静止立位時と歩行時の体幹前後屈モーメントを3次元動作解析装置にて計測した。立位では2例で体幹角度と体幹モーメントは比例関係を示していたが,1例では妊娠経過と共に体幹後傾角度増加にもかかわらず体幹前屈モーメントは減少していた。このことは妊娠経過に伴う腹部膨隆により生じる身体重心の前方移動によりHAT(頭部,両上肢,体幹)の重心が前下方へ移動し回転中心と重力とのレバーアームが短くなった為と考えた。歩行時ではHATの重心に生じる慣性力と体幹角度が体幹前後屈モーメントに影響を与える為,体幹後屈傾向の例では両脚支持期後半において体幹後屈モーメントが減少していた。一方で両脚支持期後半に体幹角度,床反力後方成分の増加にかかわらず体幹後屈モーメントが発生しない被験者も存在し,HATの重心が下方に位置しレバーアームが短くなった為と考えられた。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.22.281