hMLH1 の遺伝子変異が明らかとなったHNPCC の1 例

症例は51 歳男性で35 歳時に上行結腸癌に罹患し他院で手術を受けている.平成15 年残存結腸に同時性多発癌(下行結腸癌3 個,S 状結腸癌1 個)を認め残存結腸全摘術,回腸直腸吻合術を施行した.pedigree はAmsterdamCriteria Ⅰ,Ⅱを満たすもので父と弟が大腸癌罹患者で祖母が胃癌であることが判明した.遺伝子解析の結果,hMLH1 のexon14 にミスセンス変異を認めこれが病的変異であることがわかった.今後は,本患者の他臓器癌発生に注意し厳重なサーベイランスを行うと共に本家系の保因者診断も行う必要があると考えている.近い将来HNPCCの遺伝子解析が飛躍的な進歩を遂げ,こ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in家族性腫瘍 Vol. 5; no. 1; pp. 45 - 50
Main Authors 山田, 睦夫, 竹之下, 誠一, 野水, 整, 佐久間, 威之, 山口, 佳子, 菅野, 康吉, 片方, 直人, 早瀬, 傑, 渡辺, 文明, 権田, 憲士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2005
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.5.1_45

Cover

More Information
Summary:症例は51 歳男性で35 歳時に上行結腸癌に罹患し他院で手術を受けている.平成15 年残存結腸に同時性多発癌(下行結腸癌3 個,S 状結腸癌1 個)を認め残存結腸全摘術,回腸直腸吻合術を施行した.pedigree はAmsterdamCriteria Ⅰ,Ⅱを満たすもので父と弟が大腸癌罹患者で祖母が胃癌であることが判明した.遺伝子解析の結果,hMLH1 のexon14 にミスセンス変異を認めこれが病的変異であることがわかった.今後は,本患者の他臓器癌発生に注意し厳重なサーベイランスを行うと共に本家系の保因者診断も行う必要があると考えている.近い将来HNPCCの遺伝子解析が飛躍的な進歩を遂げ,これが臨床での早期治療戦略として活用されることを切に願いたい.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.5.1_45