バイオスティミラントとしてのメラトニン添加によるヘマトコッカスからのアスタキサンチン生産の増強

抗酸化色素アスタキサンチンの天然唯一の供給源である微細藻ヘマトコッカスの生産性向上を目的とし,ホルモンの一種であるメラトニン(MT)の添加がHaematococcus lacustrisの細胞増殖とアスタキサンチンの生産性へ及ぼす影響を検討した。非生物的ストレスとして光強度の異なる条件下で比較したところ,強光条件下で,培養開始時にわずか1.0 mg L-¹ のMTを添加することにより,対照区と比較してバイオマスとアスタキサンチンの生産量はそれぞれ11%と25%増強した。MTは低濃度で環境ストレス耐性を向上し生産性を増強するが,高濃度では細胞増殖を阻害した。これまでに報告されている増殖促進剤より...

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Published in日本エネルギー学会誌 Vol. 101; no. 7; pp. 132 - 137
Main Authors 上田, 龍二, 脇坂, 港
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本エネルギー学会 20.07.2022
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ISSN0916-8753
1882-6121
DOI10.3775/jie.101.132

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Summary:抗酸化色素アスタキサンチンの天然唯一の供給源である微細藻ヘマトコッカスの生産性向上を目的とし,ホルモンの一種であるメラトニン(MT)の添加がHaematococcus lacustrisの細胞増殖とアスタキサンチンの生産性へ及ぼす影響を検討した。非生物的ストレスとして光強度の異なる条件下で比較したところ,強光条件下で,培養開始時にわずか1.0 mg L-¹ のMTを添加することにより,対照区と比較してバイオマスとアスタキサンチンの生産量はそれぞれ11%と25%増強した。MTは低濃度で環境ストレス耐性を向上し生産性を増強するが,高濃度では細胞増殖を阻害した。これまでに報告されている増殖促進剤よりも,はるかに低濃度の添加で効果を発現することから,微細藻類培養におけるバイオスティミュラントとしてのMTの可能性が示唆された。
ISSN:0916-8753
1882-6121
DOI:10.3775/jie.101.132