中学生の歯科口腔保健行動とセルフエスティームおよび健康統制感の関連

「他律的健康づくり」から「自律的な健康づくり」への移行期である学齢期は,歯科口腔保健領域においても,自ら主体的に適切な予防行動を実践するスキルを身につける重要な時期である.一般に人々の健康行動を形成するには,その行動に関わる要因を明らかにし,その要因に対して適切な働きかけをする必要がある.そこで本研究は,中学生のための効果的な学校歯科保健教育プログラムを開発するために,歯科口腔保健行動と心理社会的要因であるセルフエスティーム(以下SE)および健康統制感との関連について検討することを目的とした.平成27年に大阪府S市の中学校1校に在籍する3年生を対象に調査した(分析対象者152名).調査項目は,...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 11 - 18
Main Authors 川西, 順子, 神, 光一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2020
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.70.1_11

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Summary:「他律的健康づくり」から「自律的な健康づくり」への移行期である学齢期は,歯科口腔保健領域においても,自ら主体的に適切な予防行動を実践するスキルを身につける重要な時期である.一般に人々の健康行動を形成するには,その行動に関わる要因を明らかにし,その要因に対して適切な働きかけをする必要がある.そこで本研究は,中学生のための効果的な学校歯科保健教育プログラムを開発するために,歯科口腔保健行動と心理社会的要因であるセルフエスティーム(以下SE)および健康統制感との関連について検討することを目的とした.平成27年に大阪府S市の中学校1校に在籍する3年生を対象に調査した(分析対象者152名).調査項目は,歯磨き回数,主観的歯磨き行動「留意点」・「確認」,甘味食品・飲料の摂取回数,SE,健康統制感等であった.その結果,男子では,「確認」と内的統制との間に有意な正の相関が認められた.また,甘味食品摂取回数と内的統制との間に有意な関連が認められた.女子では,菓子を食べ続ける頻度と内的統制との間に有意な関連が認められた.また,主観的歯磨き行動および甘味飲料摂取回数とSE(家族)との間において統計学的に有意差は認められなかったものの,一定の傾向が認められた.以上のことから,中学生期において,SE 形成を促進する学校歯科保健教育の導入や健康統制傾向を考慮した介入の重要性が示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.70.1_11