保存的治療が奏功した尿道カテーテルによる膀胱穿孔の1例
症例は89歳,女性。子宮癌に対し子宮全摘術と放射線治療歴があり,これまで放射線性腸炎による腸閉塞で複数回の入院加療歴があった。今回も放射線性腸炎のため入院となった。入院3病日に発熱および腹膜炎症状が出現したため腹部CT検査を施行したところ腹腔内にfree airを認め,さらに入院時に留置した尿道カテーテルが膀胱壁を貫いていた。圧痛は下腹部に限局しておりカテーテル先端を膀胱内まで引き抜いて減圧と抗菌化学療法による保存的治療を行った。経過は良好で28病日に逆行性膀胱造影検査で穿孔部の閉鎖を確認し尿道カテーテルを抜去した。膀胱鏡検査では放射線性膀胱炎が判明し,本例は膀胱壁の脆弱性を背景にカテーテル挿...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 1185 - 1188 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2018
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.38.1185 |
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Summary: | 症例は89歳,女性。子宮癌に対し子宮全摘術と放射線治療歴があり,これまで放射線性腸炎による腸閉塞で複数回の入院加療歴があった。今回も放射線性腸炎のため入院となった。入院3病日に発熱および腹膜炎症状が出現したため腹部CT検査を施行したところ腹腔内にfree airを認め,さらに入院時に留置した尿道カテーテルが膀胱壁を貫いていた。圧痛は下腹部に限局しておりカテーテル先端を膀胱内まで引き抜いて減圧と抗菌化学療法による保存的治療を行った。経過は良好で28病日に逆行性膀胱造影検査で穿孔部の閉鎖を確認し尿道カテーテルを抜去した。膀胱鏡検査では放射線性膀胱炎が判明し,本例は膀胱壁の脆弱性を背景にカテーテル挿入時の物理的な外力が加わって穿孔したと推察された。尿道カテーテル留置後に生じた急性腹症では膀胱穿孔を念頭に置き,保存的治療も選択肢の1つにすべきと思われた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.38.1185 |