リンチ症候群のリクルートにおける病理組織・免疫染色・MSI テスト・somatic 遺伝子検査の意義
大腸癌の中には親から子へと受け継がれる遺伝性疾患がある. このうちもっとも頻度の高いリンチ症候群では原因遺伝子が明らかになってきているものの, すべてに遺伝子変異が見つかる訳ではない. その他の補助的な診断法を用いて境界領域をできるだけ狭め, より迅速に簡便に疾患を絞り込む工夫が臨床的には非常に大切である. 同時に, 異なった症候群が隠れている可能性を常に念頭において診断が進められなくてはならない. [I. はじめに] ミスマッチ修復(MMR)蛋白の機能不全に由来する一連の大腸癌がある. 散在性大腸癌は主としてMLH1遺伝子のプロモーターのメチル化に起因するが, 遺伝性大腸癌はMLH1, MS...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 7; no. 1; pp. 11 - 14 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
2007
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会 The Japanese Society for Hereditary Tumors |
Subjects | |
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ISSN | 1346-1052 2189-6674 |
DOI | 10.18976/jsft.7.1_11 |
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Summary: | 大腸癌の中には親から子へと受け継がれる遺伝性疾患がある. このうちもっとも頻度の高いリンチ症候群では原因遺伝子が明らかになってきているものの, すべてに遺伝子変異が見つかる訳ではない. その他の補助的な診断法を用いて境界領域をできるだけ狭め, より迅速に簡便に疾患を絞り込む工夫が臨床的には非常に大切である. 同時に, 異なった症候群が隠れている可能性を常に念頭において診断が進められなくてはならない. [I. はじめに] ミスマッチ修復(MMR)蛋白の機能不全に由来する一連の大腸癌がある. 散在性大腸癌は主としてMLH1遺伝子のプロモーターのメチル化に起因するが, 遺伝性大腸癌はMLH1, MSH2, MSH6, PMS2遺伝子の生殖細胞変異が原因で, リンチ症候群(hereditary non-polyposis colorectal cancer:HNPCC)と呼ばれる1-3). このリンチ症候群を臨床的に診断するためにInternational collaborative group for HNPCC(ICG-HNPCC)で定められたアムステルダム診断基準が最も良く利用されてきたが, 後のオーストラリアの会議において, 関連癌として大腸癌以外の癌腫を含めるかたちで改訂された(Amsterdam II)4,5). |
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ISSN: | 1346-1052 2189-6674 |
DOI: | 10.18976/jsft.7.1_11 |