抗血小板薬並びに抗凝固薬の標準化に関する遺伝子解析研究
「はじめに」ワルファリンは世界で最も広く用いられている経口抗凝固薬である. 本薬剤による各種血栓症ないし塞栓症の再発予防効果が確立している一方, 治療域が狭いのでコントロールが難しいことが指摘されている. ワルファリンの投与量の個人差は, 体重や食事などの環境因子に加え, 遺伝因子も影響するといわれていたが, 最近2つの遺伝子, CYP2C9とVKORC1の遺伝子多型がかかわることが明らかとなってきた. これらの遺伝子多型に加えて, 年齢や性・体重などの要因を加味すると, 投与量の個人差の50%以上が説明されるとの報告が見られる. 抗凝固作用を保ちつつ出血等のイベントを軽減するため, これらの...
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Published in | 脳卒中 Vol. 29; no. 6; pp. 721 - 725 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2007
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.29.721 |
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Summary: | 「はじめに」ワルファリンは世界で最も広く用いられている経口抗凝固薬である. 本薬剤による各種血栓症ないし塞栓症の再発予防効果が確立している一方, 治療域が狭いのでコントロールが難しいことが指摘されている. ワルファリンの投与量の個人差は, 体重や食事などの環境因子に加え, 遺伝因子も影響するといわれていたが, 最近2つの遺伝子, CYP2C9とVKORC1の遺伝子多型がかかわることが明らかとなってきた. これらの遺伝子多型に加えて, 年齢や性・体重などの要因を加味すると, 投与量の個人差の50%以上が説明されるとの報告が見られる. 抗凝固作用を保ちつつ出血等のイベントを軽減するため, これらの遺伝子情報をうまく使うことが, 今後重要になると考えられる. アスピリンは非心原性脳梗塞や心筋梗塞の予防に対する有効性が明確な抗血小板薬である. ワルファリンはその効果をPT-INRで判定し投与量を調節して用いられるが, アスピリンについては血小板凝集能測定により投与量を調整する場合もあるものの, 多くの臨床の現場では体重や患者の状態にかかわらず一定量で治療がなされることが多い. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.29.721 |