光で脳を制御する

1. はじめに 脳はいかにして膨大な量の情報を処理しているのか? 脳が喜びや苦しみを感じるとはどういうことなのか? 個々の神経機能から意識の奥深いところへと今日の科学は迫りつつある. ヒトや動物の脳のはたらきを体に傷をつけることなくのぞき見ることができる非侵襲的脳機能イメージング法の開発もこれに大きく貢献してきた. とりわけPET(陽電子放射断層撮影法)やfMRI(機能的磁気共鳴画像法)は脳内での神経活動に伴う代謝ダイナミクスを2次元あるいは3次元的に描出することを可能にし, 近年ますます注目されている. ところが一方, 実際の我々の脳の中では各機能領域の間に神経ネットワークがはり巡らされ,...

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Published in生物物理 Vol. 41; no. 5; pp. 247 - 250
Main Author 片岡, 洋祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2001
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.41.247

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Summary:1. はじめに 脳はいかにして膨大な量の情報を処理しているのか? 脳が喜びや苦しみを感じるとはどういうことなのか? 個々の神経機能から意識の奥深いところへと今日の科学は迫りつつある. ヒトや動物の脳のはたらきを体に傷をつけることなくのぞき見ることができる非侵襲的脳機能イメージング法の開発もこれに大きく貢献してきた. とりわけPET(陽電子放射断層撮影法)やfMRI(機能的磁気共鳴画像法)は脳内での神経活動に伴う代謝ダイナミクスを2次元あるいは3次元的に描出することを可能にし, 近年ますます注目されている. ところが一方, 実際の我々の脳の中では各機能領域の間に神経ネットワークがはり巡らされ, 情報処理がさまざまな領域で同時に進行しているため, これらのイメージング技術は関係領域を一挙に描出してくれるものの, イメージングのみでは各微小領域の役割や機能的つながりを詳細に理解することは難しいといった一面がある. まして臨床医学においてはイメージング技術は病気の診断には威力を発揮するが, 治療技術としては使えない.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.41.247