皮質梗塞に伴う片側舞踏運動で一過性の皮質・線条体血流亢進を認めた1例

皮質梗塞後の舞踏運動の出現機序として皮質血流低下による大脳基底核ループの障害が推定されているが,詳細な検討はなされていない.我々は,右M2閉塞による右前頭葉の心原性脳塞栓症を発症した翌日に左上肢の舞踏運動が出現し,閉塞血管の再開通と脳血流single-photon emission computed tomography(SPECT)での同支配域の過灌流を認めた症例を経験した.興味深いことに,梗塞を免れた右線条体の血流も亢進しており,舞踏運動消失後に同所見も消失した.皮質梗塞後の閉塞血管の再開通による過灌流が線条体に影響を及ぼし,舞踏運動が出現したと推察した.皮質梗塞による舞踏運動の発症機序と...

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Published in臨床神経学 Vol. 65; no. 4; pp. 290 - 293
Main Authors 井上, 裕康, 水野, 将行, 大村, 真弘, 松川, 則之, 藤岡, 哲平, 間所, 佑太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002037

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Summary:皮質梗塞後の舞踏運動の出現機序として皮質血流低下による大脳基底核ループの障害が推定されているが,詳細な検討はなされていない.我々は,右M2閉塞による右前頭葉の心原性脳塞栓症を発症した翌日に左上肢の舞踏運動が出現し,閉塞血管の再開通と脳血流single-photon emission computed tomography(SPECT)での同支配域の過灌流を認めた症例を経験した.興味深いことに,梗塞を免れた右線条体の血流も亢進しており,舞踏運動消失後に同所見も消失した.皮質梗塞後の閉塞血管の再開通による過灌流が線条体に影響を及ぼし,舞踏運動が出現したと推察した.皮質梗塞による舞踏運動の発症機序として,皮質梗塞による血流低下以外に閉塞血管の再開通による血流亢進も考慮する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002037