味覚機能への亜鉛酵素「炭酸脱水酵素」の寄与

『1)はじめに』 亜鉛は, 亜鉛酵素による機能(炭酸脱水酵素, DNAポリメラーゼ, アルコール脱水素酵素, アルカリホスファターゼ, ほか多数)や, DNA結合タンパク質のDNA結合領域がとる立体構造であるZinc fingerドメインでの配位, 免疫機能の維持などの様々な重要な機能に寄与している. 亜鉛欠乏症としては, 成長障害(小人症), 性的発育障害, 皮膚炎, 免疫機能の低下, 味覚障害などが知られている. 当論文の主題である味覚障害は, これまでの我々の研究などから亜鉛酵素である炭酸脱水酵素の活性低下による部分が大きく寄与していると予測された. 筆者らは, 亜鉛欠乏による味覚障害に...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 21; no. 1; pp. 38 - 42
Main Authors 大日向, 耕作, 白川, 仁, 後藤, 知子, 駒井, 三千夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2010
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.21.38

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Summary:『1)はじめに』 亜鉛は, 亜鉛酵素による機能(炭酸脱水酵素, DNAポリメラーゼ, アルコール脱水素酵素, アルカリホスファターゼ, ほか多数)や, DNA結合タンパク質のDNA結合領域がとる立体構造であるZinc fingerドメインでの配位, 免疫機能の維持などの様々な重要な機能に寄与している. 亜鉛欠乏症としては, 成長障害(小人症), 性的発育障害, 皮膚炎, 免疫機能の低下, 味覚障害などが知られている. 当論文の主題である味覚障害は, これまでの我々の研究などから亜鉛酵素である炭酸脱水酵素の活性低下による部分が大きく寄与していると予測された. 筆者らは, 亜鉛欠乏による味覚障害に関する味選択行動および神経生理学的な解析や, 摂食調節への食餌亜鉛の関与について検討してきたので, この総説ではその研究成果を簡単にまとめてみた. 『2)炭酸脱水酵素(Carbonic anhydrase=CA)の味覚受容における重要性』 これまでの, 日大耳鼻咽喉科の冨田研究室での亜鉛欠乏ラット味蕾の組織化学的検討では, 亜鉛酵素であるalkaline phosphatase, cyclic AMP phosphodiesterase, acid phosphatase, ATPase, adenylate cyclase, guanylate cyclaseについて, 味蕾組織における活性が亜鉛欠乏ラットと正常ラットの間での違いは認められなかった[1].
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.21.38