リンチ症候群 screening 上の課題
I. はじめに 遺伝性大腸癌の中で, 最も頻度が高いが, 疾患として解りにくいリンチ症候群(HNPCC;Hereditary Non-polyposis Colorectal Cancer)の存在が, 一般の臨床家の間にも, 次第に認知されるようになってきた. リンチ症候群の診断は, まず家族歴を中心にした診断基準に照らし合わせることより始まる. しかし, 提唱された基準が, 果たしてどのくらい正確なのか, 擬陽性・擬陰性はどの程度あるかについては, あまり注意を払われてこなかった. ところが, 症候群に対する分子腫瘍学的な理解が進んで, 疾患概念がより明らかになってきた現在, 診断基準・原因...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 8; no. 2; pp. 58 - 60 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
2008
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会 The Japanese Society for Hereditary Tumors |
Subjects | |
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ISSN | 1346-1052 2189-6674 |
DOI | 10.18976/jsft.8.2_58 |
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Summary: | I. はじめに 遺伝性大腸癌の中で, 最も頻度が高いが, 疾患として解りにくいリンチ症候群(HNPCC;Hereditary Non-polyposis Colorectal Cancer)の存在が, 一般の臨床家の間にも, 次第に認知されるようになってきた. リンチ症候群の診断は, まず家族歴を中心にした診断基準に照らし合わせることより始まる. しかし, 提唱された基準が, 果たしてどのくらい正確なのか, 擬陽性・擬陰性はどの程度あるかについては, あまり注意を払われてこなかった. ところが, 症候群に対する分子腫瘍学的な理解が進んで, 疾患概念がより明らかになってきた現在, 診断基準・原因遺伝子変異と真のリンチ症候群の関係について, 改めて検討してみる必要がでてきた. II. リンチ症候群はどのように定義される? 偉大な先人の詳細な臨床病理学的観察から, 明らかに優性遺伝形式で伝播する遺伝性大腸癌(リンチ症候群)は認識されていた1). |
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ISSN: | 1346-1052 2189-6674 |
DOI: | 10.18976/jsft.8.2_58 |