HNPCC の登録と遺伝子解析プロジェクト

大腸癌研究会では2002 年9 月より,胃癌をHNPCC 関連腫瘍に含めたアムステルダムII 基準を満たすHNPCC患者および保因者を対象として,「HNPCC の登録と遺伝子解析プロジェクト」を開始した.このプロジェクトに登録されたHNPCC 大腸癌患者は,照合した施設の全大腸癌患者の約2.1 %であった.さらに遺伝子解析に対するインフォームド・コンセントが得られた85 症例に対し遺伝子解析を行った.これらの患者の大腸癌発生部位は,右側大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)が47.9 %で,一般大腸癌の28.3 %に比べて有意に頻度が高かった.粘液癌の頻度もHNPCC 大腸癌では8.4 %で,一般大...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 7; no. 1; pp. 2 - 7
Main Authors 森谷, 宜皓, 吉田, 輝彦, 中村, 祐輔, 古川, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2007
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.7.1_2

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Summary:大腸癌研究会では2002 年9 月より,胃癌をHNPCC 関連腫瘍に含めたアムステルダムII 基準を満たすHNPCC患者および保因者を対象として,「HNPCC の登録と遺伝子解析プロジェクト」を開始した.このプロジェクトに登録されたHNPCC 大腸癌患者は,照合した施設の全大腸癌患者の約2.1 %であった.さらに遺伝子解析に対するインフォームド・コンセントが得られた85 症例に対し遺伝子解析を行った.これらの患者の大腸癌発生部位は,右側大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)が47.9 %で,一般大腸癌の28.3 %に比べて有意に頻度が高かった.粘液癌の頻度もHNPCC 大腸癌では8.4 %で,一般大腸癌の3.4 %に比べて有意に多かった.遺伝子解析は,MLH1,MSH2,MSH6 遺伝子の全コーディング領域について,PCR ・ダイレクトシークエンス法,RT-PCR 法,およびMLPA 法により異常を検討した.その結果,約54 %の症例に病的変異を認めた.これらの結果は,日本におけるHNPCC の頻度,臨床病理学的特徴を理解し,正しい診断と,患者および保因者に対してより適切な医療サービスを提供するために役立つであろう.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.7.1_2