家族性腫瘍のリスクカウンセリング

家族性腫瘍の発症予防,早期発見およびがん死の回避には,罹患者ならびに保因可能者の特定とそれらの人々に対する働きかけが必須である.本稿では,リスクカウンセリングとしてのがんの遺伝カウンセリングについて,米国および英国の文献を中心に筆者らの経験も踏まえ,その背景と対象とする領域,目標と内容について述べ,従来の先天異常を対象とする遺伝カウンセリングとの共通点と相違点について検討した.また,遺伝要因と環境要因の相互作用を考慮に入れたがんのリスクカウンセリングのプロセスを,遺伝子検査が選択肢として利用可能な場合を含めて判断樹の様式で示し,説明した.判断樹では,各判断事項ごとに参照事項とその解説を加え,必...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 1; no. 1; pp. 9 - 15
Main Author 数間, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2001
家族性腫瘍研究会
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
The Japanese Society for Hereditary Tumors
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.1.1_9

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Summary:家族性腫瘍の発症予防,早期発見およびがん死の回避には,罹患者ならびに保因可能者の特定とそれらの人々に対する働きかけが必須である.本稿では,リスクカウンセリングとしてのがんの遺伝カウンセリングについて,米国および英国の文献を中心に筆者らの経験も踏まえ,その背景と対象とする領域,目標と内容について述べ,従来の先天異常を対象とする遺伝カウンセリングとの共通点と相違点について検討した.また,遺伝要因と環境要因の相互作用を考慮に入れたがんのリスクカウンセリングのプロセスを,遺伝子検査が選択肢として利用可能な場合を含めて判断樹の様式で示し,説明した.判断樹では,各判断事項ごとに参照事項とその解説を加え,必要な対応を示した.判断樹に示した対応策から,がんのリスクカウンセリングの特徴として予防のための教育的働きかけの重要性が明確に示された.また,がんのリスクカウンセリングに携わるカウンセラ−の現状と養成について米国と英国の状況を紹介し,わが国での早急な養成の必要性について言及した.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.1.1_9