短期的総胆管ステント留置が有効であった閉塞性黄疸の犬の1例

10歳齢のゴールデン・レトリバーが3日前からの食欲低下,嘔吐および白色の下痢を主訴に来院し,各種検査の結果,総胆管閉塞が疑われた。入院にて3日間の内科的治療を行ったが,改善が認められず,CT検査後に外科的治療を行った。CT検査では胆嚢頸部に結石を認めた。開腹手術にて胆石を摘出し,胆嚢切除を行ったが,大十二指腸乳頭部に炎症ならびに狭窄が認められたため,総胆管ステント留置術を実施した。術後,速やかに黄疸は改善され,術後32日目に内視鏡検査を行い,鏡視下にてステントを抜去した。ステント抜去後の経過も良好で,術後1261日に別疾患で死亡するまで閉塞性黄疸の再発は認められなかった。本症例より,総胆管ステ...

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Published in動物臨床医学 Vol. 20; no. 1; pp. 25 - 29
Main Authors 矢吹, 淳, 小出, 由紀子, 小出, 和欣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 動物臨床医学会 20.03.2011
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ISSN1344-6991
1881-1574
DOI10.11252/dobutsurinshoigaku.20.25

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Summary:10歳齢のゴールデン・レトリバーが3日前からの食欲低下,嘔吐および白色の下痢を主訴に来院し,各種検査の結果,総胆管閉塞が疑われた。入院にて3日間の内科的治療を行ったが,改善が認められず,CT検査後に外科的治療を行った。CT検査では胆嚢頸部に結石を認めた。開腹手術にて胆石を摘出し,胆嚢切除を行ったが,大十二指腸乳頭部に炎症ならびに狭窄が認められたため,総胆管ステント留置術を実施した。術後,速やかに黄疸は改善され,術後32日目に内視鏡検査を行い,鏡視下にてステントを抜去した。ステント抜去後の経過も良好で,術後1261日に別疾患で死亡するまで閉塞性黄疸の再発は認められなかった。本症例より,総胆管ステント留置術は,短期的な胆汁流出路の確保が必要な症例に対して有用である可能性が示唆された。
ISSN:1344-6991
1881-1574
DOI:10.11252/dobutsurinshoigaku.20.25