高齢者用食品としてのキサンタンガム・ジェランガム混合トロミ剤の性状ときざみ食の咀嚼性

キサンタンガム (Xと表す) にジェランガム・ネイティブ型 (Gと表す) を加えた0.6wt%トロミ剤 (X: G=0.6: 0.0, 0.4: 0.2, 0.2: 0.4, 0.0: 0.6) のレオロジー的特性について, 流動特性, 動的粘弾性およびテクスチャー特性により検討した.トロミ剤は, ずり流動化流動であり構造のある液体のような挙動を示した.ジェランガムの混合比率が高いほうが, 弾性要素が高く, 付着性が増した.ジェランガム単独系 (X: G=0.0: 0.6) では弾性的なゲルに近い挙動を示した.また, トロミ剤 (X: G=0.6: 0.0, 0.4: 0.2, 0.2: 0....

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Published in日本咀嚼学会雑誌 Vol. 18; no. 1; pp. 49 - 59
Main Authors 西成, 勝好, 船見, 孝博, 吉村, 美紀, 桑野, 稔子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本咀嚼学会 31.05.2008
日本咀嚼学会
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ISSN0917-8090
1884-4448
DOI10.14858/soshaku1991.18.49

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Summary:キサンタンガム (Xと表す) にジェランガム・ネイティブ型 (Gと表す) を加えた0.6wt%トロミ剤 (X: G=0.6: 0.0, 0.4: 0.2, 0.2: 0.4, 0.0: 0.6) のレオロジー的特性について, 流動特性, 動的粘弾性およびテクスチャー特性により検討した.トロミ剤は, ずり流動化流動であり構造のある液体のような挙動を示した.ジェランガムの混合比率が高いほうが, 弾性要素が高く, 付着性が増した.ジェランガム単独系 (X: G=0.0: 0.6) では弾性的なゲルに近い挙動を示した.また, トロミ剤 (X: G=0.6: 0.0, 0.4: 0.2, 0.2: 0.4) を添加したきざみ食の咀嚼性について, 若年者パネル (平均年齢20.9±1.1歳) と高齢者パネル (平均年齢73.3±8.7歳) により検討した.きざみ食の咀嚼回数と咀嚼時間は混合比率による有意差が認められなかった.若年者パネルによる官能評価より, X: G=0.6: 0.0のトロミ剤を添加したきざみ食が, 噛みやすく, 飲み込みやすく, 総合的に好ましいと評価された.また, 若年者パネルではX: G=0.6: 0.0の咀嚼周期が小さかった.高齢者パネルによる官能評価では, X: G=0.2: 0.4のトロミ剤を添加したきざみ食が, まとまりが良く, 噛みやすく, 飲み込みやすく, 総合的に好ましいと評価された.また, 高齢者パネルではX: G=0.2: 0.4の咀嚼周期が小さかった.これらの結果より, キサンタンガム・ジェランガム混合系トロミ剤のレオロジー特性が高齢者にとってきざみ食を飲み込みやすくすることが示唆された.また, 高齢者パネルの歯の状態が, きざみ食の咀嚼回数・咀嚼時間に影響を及ぼした.
ISSN:0917-8090
1884-4448
DOI:10.14858/soshaku1991.18.49