看取りのケアにおける看護師の役割

終末期においては, 患者と家族が苦痛から開放され, 人生の最後の瞬間までその人らしさを維持していくことが大切である. 今回, "最後まで患者を支える"ことを看護方針にして関わった終末期の事例から, 看護師が果たすべき役割が示唆されたので報告する. 事例紹介 N氏, 60歳, 男性, 独身一人暮らし. 四人兄弟の長男. 元会社員. 結腸癌(肝肺転移), 腹膜播腫, 腹壁に病的ろう孔, 主な身体的苦痛は疼痛と倦怠感, 腹壁の病的ろう孔から多量の腸液の流出. キーパーソンは妹. モットーは"人に迷惑をかけないこと"2001年6月手術. 8月退院, 外来化学療法...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 1; pp. 11 - 12
Main Authors 久保田, 豊子, 前田, 三枝子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2003
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.53.11

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Summary:終末期においては, 患者と家族が苦痛から開放され, 人生の最後の瞬間までその人らしさを維持していくことが大切である. 今回, "最後まで患者を支える"ことを看護方針にして関わった終末期の事例から, 看護師が果たすべき役割が示唆されたので報告する. 事例紹介 N氏, 60歳, 男性, 独身一人暮らし. 四人兄弟の長男. 元会社員. 結腸癌(肝肺転移), 腹膜播腫, 腹壁に病的ろう孔, 主な身体的苦痛は疼痛と倦怠感, 腹壁の病的ろう孔から多量の腸液の流出. キーパーソンは妹. モットーは"人に迷惑をかけないこと"2001年6月手術. 8月退院, 外来化学療法開始. 2001年12月再入院. 患者における死の受容のプロセス(表1) 治療手段がなくなり病状が改善されず, 体力の消耗と共に日常生活動作に介助が必要になった時患者は死を予期した. 悔いを残さないために行動をおこし, 人生を振り返える中で弟に詫び, 終末期を共に過ごした弟妹と看護師に感謝の気持ちを伝えている. しかし, 穏やかに過ごせる時と死の不安, 恐怖を表現している時が繰り返された.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.53.11