閉鎖術によらず治癒した完全離開気管支断端瘻の1例

71歳,男性.右下葉肺癌に対し下葉切除を行い退院.術後15日目に意識障害と呼吸不全により緊急搬送され,気管支鏡検査で下葉気管支断端の完全離開が認められた.一期的な瘻孔閉鎖は不可能と判断し,予め栄養サポートチーム(NST)の介入と理学療法を開始した上で開窓術を行った.術翌日から理学療法を再開し,NSTと逐一協議して経管栄養を実施した結果,開窓術後7日で人工呼吸器を離脱して歩行訓練が可能となった.2カ月で断端の閉鎖が確認され,4週間の局所陰圧閉鎖療法を追加することで遺残腔の完全な消失と創部の上皮化が得られた.開窓術後比較的短期間で瘻孔の閉鎖が得られた要因として周術期の栄養状態が概ね良好だったこと,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 1069 - 1074
Main Authors 師田, 瑞樹, 坂口, 浩三, 石田, 博徳, 田口, 亮, 二反田, 博之, 栁原, 章寿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1069

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Summary:71歳,男性.右下葉肺癌に対し下葉切除を行い退院.術後15日目に意識障害と呼吸不全により緊急搬送され,気管支鏡検査で下葉気管支断端の完全離開が認められた.一期的な瘻孔閉鎖は不可能と判断し,予め栄養サポートチーム(NST)の介入と理学療法を開始した上で開窓術を行った.術翌日から理学療法を再開し,NSTと逐一協議して経管栄養を実施した結果,開窓術後7日で人工呼吸器を離脱して歩行訓練が可能となった.2カ月で断端の閉鎖が確認され,4週間の局所陰圧閉鎖療法を追加することで遺残腔の完全な消失と創部の上皮化が得られた.開窓術後比較的短期間で瘻孔の閉鎖が得られた要因として周術期の栄養状態が概ね良好だったこと,残存する右上中葉の容積が大きく膿胸腔の清浄化と相まって胸腔が縮小して断端が覆われたこと,開窓術前からの各職種の積極的な介入が奏効したことが考えられた.局所陰圧閉鎖療法は遺残腔の縮小に有効であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1069