悪性黒色腫胆嚢転移の1例

症例は87歳,男性.2016年3月に皮膚悪性黒色腫に対し切除術が行われた.以降,右鼠径部リンパ節,大動脈周囲リンパ節,右腋窩リンパ節転移,脳転移を認めた.脳転移に対してガンマナイフ療法を行い,その後ペムブロリズマブによる治療が行われた.リンパ節転移,脳転移は集学的治療により制御できていたが,2018年8月のCTで胆嚢に隆起性病変を指摘された.10月のCTで胆嚢腫瘍は増大しており,胆嚢転移もしくは胆嚢癌と診断した.他の部位はペムブロリズマブで病勢が抑えられており,胆嚢癌の可能性も否定できないことから切除の方針とした.手術は肝床部切除術+12bリンパ節郭清を行った.病理結果は悪性黒色腫胆嚢転移であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 1161 - 1165
Main Authors 八木, 健, 北村, 龍彦, 塚田, 暁, 坪井, 香保里, 津田, 晋, 小松, 優香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1161

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Summary:症例は87歳,男性.2016年3月に皮膚悪性黒色腫に対し切除術が行われた.以降,右鼠径部リンパ節,大動脈周囲リンパ節,右腋窩リンパ節転移,脳転移を認めた.脳転移に対してガンマナイフ療法を行い,その後ペムブロリズマブによる治療が行われた.リンパ節転移,脳転移は集学的治療により制御できていたが,2018年8月のCTで胆嚢に隆起性病変を指摘された.10月のCTで胆嚢腫瘍は増大しており,胆嚢転移もしくは胆嚢癌と診断した.他の部位はペムブロリズマブで病勢が抑えられており,胆嚢癌の可能性も否定できないことから切除の方針とした.手術は肝床部切除術+12bリンパ節郭清を行った.病理結果は悪性黒色腫胆嚢転移であった.術後14カ月経過しているが,再発なく経過観察中である.悪性黒色腫の多臓器転移は予後不良とされるが,免疫チェックポイント阻害薬により病勢制御できない部位を外科的に完全切除することにより予後の改善が見込まれる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1161