タンパク質のアロステリーと配列デザイン原理

「1. タンパク質の設計原理について」 ランダムにアミノ酸を並べてポリペプチドをつくっても, タンパク質らしい性質をもつ分子ができる確率はきわめて低い. 逆にいうと, タンパク質は進化を通じてそのアミノ酸配列を巧みにデザインしてきた. それでは, タンパク質は, どのような要請からどのようにアミノ酸配列をデザインしてきたのか, これはタンパク質の設計原理という普遍的で基礎的な問題である. 酵素などの多くのタンパク質にとって特定の3次元構造へフォールディングすることは機能実現に有利である. したがってフォールディング能という強い要請があり, これらのタンパク質はその要請を満たすべく配列を進化させ...

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Published in生物物理 Vol. 52; no. 3; pp. 150 - 151
Main Author 高田, 彰二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2012
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.52.150

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Summary:「1. タンパク質の設計原理について」 ランダムにアミノ酸を並べてポリペプチドをつくっても, タンパク質らしい性質をもつ分子ができる確率はきわめて低い. 逆にいうと, タンパク質は進化を通じてそのアミノ酸配列を巧みにデザインしてきた. それでは, タンパク質は, どのような要請からどのようにアミノ酸配列をデザインしてきたのか, これはタンパク質の設計原理という普遍的で基礎的な問題である. 酵素などの多くのタンパク質にとって特定の3次元構造へフォールディングすることは機能実現に有利である. したがってフォールディング能という強い要請があり, これらのタンパク質はその要請を満たすべく配列を進化させてきた. 過去30年のタンパク質フォールディングの基礎研究によって, これはタンパク質の整合性原理あるいはフラストレーション最小の原理という形で理解されてきた. これがタンパク質の第一の設計原理といえるであろう1).
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.52.150