名古屋地区の内科系および外科系開業医を対象とした一過性脳虚血発作(TIA)に関する意識調査

要旨:一過性脳虚血発作(TIA)診療における病診連携システムを構築するにあたり,一般開業医のTIAについての認識やその診療上の問題点を抽出する目的で,名古屋市内の当院近隣5区の内科系および外科系開業医495施設を対象に郵送法でアンケート調査を行った.回答率は32%であった.半数以上でTIA診療に何らかの問題を有しており,「TIAの症状かどうか自信が持てなかった」,「患者を紹介する基準がわからなかった」などの回答が多かった.また一過性の神経症状が出現し診察時に症状が消失したTIA患者を診療した場合に直ちに専門病院を紹介するのは約4割にとどまっていた.これらの結果は大阪地区での先行調査結果とほぼ一...

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Published in脳卒中 Vol. 35; no. 4; pp. 256 - 262
Main Authors 上原, 敏志, 峰松, 一夫, 柳, 務, 祖父江, 元, 川畑, 和也, 長谷川, 康博, 安井, 敬三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2013
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.35.256

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Summary:要旨:一過性脳虚血発作(TIA)診療における病診連携システムを構築するにあたり,一般開業医のTIAについての認識やその診療上の問題点を抽出する目的で,名古屋市内の当院近隣5区の内科系および外科系開業医495施設を対象に郵送法でアンケート調査を行った.回答率は32%であった.半数以上でTIA診療に何らかの問題を有しており,「TIAの症状かどうか自信が持てなかった」,「患者を紹介する基準がわからなかった」などの回答が多かった.また一過性の神経症状が出現し診察時に症状が消失したTIA患者を診療した場合に直ちに専門病院を紹介するのは約4割にとどまっていた.これらの結果は大阪地区での先行調査結果とほぼ一致しており,日本の他の地域の一般開業医においても共通した認識である可能性が考えられる.TIAの診断や紹介の基準を明確にして,開業医と脳卒中専門病院との連携を強化し,専門病院の受け入れ体勢を整える必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.35.256