先天性アンチトロンビン欠損症による再発性脳静脈洞血栓症に対して血管内治療を行った1例

69歳,女性,言動異常のため受診した.上矢状静脈洞血栓症と診断し,緊急で血行再建療法を行った.再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,53日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.0~2.5)で再発予防をしていたが,術後244日目に再発したため再治療を行い,前回同様,再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,32日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.5~3.0)を継続し,約2年経過後の現在,再発なく経過している.精査の結果,アンチトロンビン(antithrombin: AT)活性低下,およびATをコードする遺伝子部位に既知のミスセンス変異を認め,先天性AT...

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 5; pp. 552 - 558
Main Authors 松崎, 丞, 辻, 明宏, 西居, 純平, 柳原, 武彦, 吉田, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10999

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Summary:69歳,女性,言動異常のため受診した.上矢状静脈洞血栓症と診断し,緊急で血行再建療法を行った.再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,53日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.0~2.5)で再発予防をしていたが,術後244日目に再発したため再治療を行い,前回同様,再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,32日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.5~3.0)を継続し,約2年経過後の現在,再発なく経過している.精査の結果,アンチトロンビン(antithrombin: AT)活性低下,およびATをコードする遺伝子部位に既知のミスセンス変異を認め,先天性AT欠損症と診断した.血行再建術は困難であったが再灌流が得られ,術後PT-INR=2.5~3.0と高めに設定することで良好な結果が得られている.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10999