左大脳後部皮質を中心とした後部皮質萎縮症で仮名に選択的な失読を呈した1例
85歳男性.1年前から仮名の読字困難を自覚.神経心理検査では仮名に選択的な失読,漢字優位の失書,構成障害を認めた.頭部MRIでは左後頭皮質に強い脳萎縮を認め,後部皮質萎縮症(posterior cortical atrophy,以下PCAと略記)と臨床診断した.髄液中アミロイドβ1-42は低下し,アミロイドPETでは後部帯状回・楔前部や前頭葉にプローブ集積を認めた一方,タウPETでは萎縮部位を含めてプローブ集積を認めなかった.レム睡眠行動障害およびmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィにおける取り込み低下を認め,病因としてレビー小体病理の関与が示唆された...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 64; no. 8; pp. 557 - 563 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001907 |
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Summary: | 85歳男性.1年前から仮名の読字困難を自覚.神経心理検査では仮名に選択的な失読,漢字優位の失書,構成障害を認めた.頭部MRIでは左後頭皮質に強い脳萎縮を認め,後部皮質萎縮症(posterior cortical atrophy,以下PCAと略記)と臨床診断した.髄液中アミロイドβ1-42は低下し,アミロイドPETでは後部帯状回・楔前部や前頭葉にプローブ集積を認めた一方,タウPETでは萎縮部位を含めてプローブ集積を認めなかった.レム睡眠行動障害およびmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィにおける取り込み低下を認め,病因としてレビー小体病理の関与が示唆された.萎縮の左右差が強いPCAは稀であり,また神経変性疾患において仮名選択性の失読および漢字優位の失書を呈した報告は初めてである. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001907 |